サッカー日本代表をドライブさせる久保建英 「バルセロナ仕込み」の連係力でボリビアを粉砕 (2ページ目)
【"虎の穴"で叩き込まれたキャラクター】
久保は周りにいる選手によって、プレーを最適化することができる。たとえば、本来は得点力のある左利きの右アタッカーである堂安律が右ウイングバックにいるときは、トップ下的なプレーで連係を試みている。実際、ガーナ戦では堂安のゴールをアシストしていた。一方、右利きでサイドバック的な特性のある菅原がいるときは、サイドアタッカーのようにも振る舞い、菅原のオーバーラップを生かす一方、自らもクロスで鎌田のゴールをアシストした。
久保はサッカーIQが高いからこそ、素早く周りに馴染み、同時に自分の能力も最大限に生かせる。それはバルセロナのトータルフットボールの教えに基づいている。ボールプレーの質の高い連動を追求しているから、ポジションは電話番号のようなもので、どこにいても"通話"ができる。ポジションに関係なく、技術やアイデアを出せるのだ。
バルサの下部組織「ラ・マシア」で育ったリオネル・メッシは人知を超えたような誰とも比較できない選手だが、同じルーツの久保と本質は似ている。左利きで右サイドからのドリブルで切り込むだけでなく、トップ下でも、ゼロトップでも、あるいは左サイドでも、"サッカーが求めるプレー"ができると言えばいいだろうか。それは"虎の穴"で叩き込まれたキャラクターだ。
後半10分、久保は典型的なプレーを見せている。
鎌田のバックパスから谷口彰悟が縦につけたパスを、久保は中盤で受けている。そこで相手を誘って逆を取るようにターンし、ダンスを踊るように入れ替わった。そして、ラインの裏を狙って走った小川にスルーパス。シュートには至らなかったが、一連のプレーはかつてシャビ・エルナンデスやアンドレス・イニエスタが得意としたプレーで、バルサの中盤の選手たちが身につけている技だ。
来年のワールドカップに向け、久保が森保ジャパンの中心であることは間違いない。
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