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サッカー日本代表で楽しみな3人を福田正博が挙げる W杯本番へアメリカ遠征で得た収穫とは (2ページ目)

  • text by Tsugane Ichiro

【メキシコ戦で光った3人】

 そのメキシコ戦のスタメンが、現状の日本のベストメンバーと言える。センターバック陣は故障者が多いながらも経験のある板倉滉(アヤックス)が存在感を見せ、GK鈴木彩艶(パルマ)、ボランチ遠藤航(リバプール)、FW上田のセンターラインがしっかり仕事をした。

 とりわけ、上田は高く評価している。ゴールこそ奪えなかったものの、ボールをキープしたり、時間をつくったりと、日本代表の攻撃が機能するための難しい仕事をメキシコ相手にしっかりと果たしていた。

 鎌田は遠藤とともに守備的MFに入ったが、有機的な選択肢であることを証明した。今回は故障などもあって招集外だった守田英正(スポルティング)、田中碧(リーズ)を含め、ほかのボランチにはない特長が鎌田にはある。彼が中盤の底にいることで、攻撃に転じた時にほかの選手が攻め上がれる時間をつくり出せるのが魅力だ。守備面では、もともとガツガツ当たらずともピンチの芽を摘み取れるポジショニングのよさがあるし、強度も以前に比べて増している。

 スペインのようなボールを保持するチーム相手にはより守備強度が高い選手を置きたくなるが、鎌田を配置すれば日本はボール奪取後のボール保持時間を長くすることができ、ひいては相手の攻撃時間を削ることにつながる。そうした選択肢を森保監督が手にできたのは収穫だった。

 その鎌田とともに、オフ・ザ・ボールの動きで不可欠な存在感を示していたのが南野拓実(モナコ)だ。ボールを持って個で仕掛けられる三笘や久保、堂安といった選手たちに注目が集まるが、彼らが持ち味を発揮しやすいようにスペースをつくる動きでチームに貢献しているのが南野であり、鎌田だ。メキシコ戦でもそうした動きを見せていた。

 南野は、前回のカタールW杯予選ではチームの中心的な存在だったが、リバプールからモナコへの移籍によってコンディション面が整わず、W杯本番では悔しい思いをした。だが、以後はモナコでポジションを確保し、結果を残し続けて南野本来のパフォーマンスを取り戻した。

 スペースに出ていったり、反転したりというプレーはもとより、守備面でのタスクもしっかりこなせる。森保監督からの信頼も厚いだけに、南野が今シーズンをケガなくしっかり送ってくれることが、日本代表のW杯での成否につながるだろう。

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