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サッカー日本代表が優勝したE-1について、セルジオ越後「強化にも人気向上にもつながらない。テコ入れが必要だ」

  • 渡辺達也●構成 text by Watanabe Tatsuya

セルジオ越後の「新・サッカー一蹴両断」(14)

国内組だけで臨み、3戦全勝で優勝した日本代表 photo by Fujita Masato国内組だけで臨み、3戦全勝で優勝した日本代表 photo by Fujita Masato 国内組だけで臨んだE-1選手権で3戦全勝、危なげなく2大会連続3度目の優勝を果たしたサッカー日本代表。ご意見番のセルジオ越後氏も「タイトル獲得はすばらしい」と語るが、大会自体の価値については首をかしげる。参加国のレベル、ベストからほど遠いメンバー構成、低い世間の注目度......。問題山積の大会の今後について聞いた。

【この大会で実力を測るのは難しい】

 優勝した選手たちの頑張りに水を差すつもりはないけど、その前にこの大会の存在意義とは? 今回のE-1は今まで以上に考えさせられた。

 もともと、この大会は2002年日韓ワールドカップに関連してつくられた大会(当時の大会名は「東アジア選手権」)。当時から国際Aマッチデー期間の開催ではなかったものの、海外組の人数がそれほど多くなかったこともあり、今のような"B代表"感はなかったよね。

 ちなみに、前身の大会であるダイナスティカップ(日本、韓国、中国、北朝鮮が参加する大会)は、日本サッカーの強化に大きな影響を与えている。ハンス・オフト監督がチームを率いて臨んだ1992年の第2回大会、なかなか勝てない韓国にPK戦で勝利して初優勝を飾ると、その勢いのまま同年のアジアカップ(広島)優勝、翌年のワールドカップ最終予選進出と、大げさでなく日本中がサッカーに目覚めたよね。

 ただ、E-1は日本も韓国も海外組が増えてくるにつれ、ベストメンバーから遠ざかり、国内組中心のメンバー構成で臨む大会になった。2019年大会(韓国)など、日本は五輪世代中心のメンバーで参加したこともあった。また、日本、韓国、中国に近い力を持つ北朝鮮も政治的な理由からか、出場したり、しなかったりで、今回もかなり力の落ちる香港が参加している状況だ。

「新戦力のテストの場」と言えば聞こえはいいけど、既存の戦力がひとりもいないなかでテストも何もないし、相手もベストメンバーではないとなると、実力を測るのはなかなか難しい。また、選手の名前と顔が一致しないから世間の注目度は低く、負けてもそれほど批判されない。勝負の厳しさという意味でも微妙だ。

 もし今回、日本が韓国に大敗したとしても、「森保一監督を解任しろ」という声はどこからも挙がらなかっただろう。何しろ「本来の代表チームではない」という言い訳があるからね。結局、その程度の価値の大会ということ。

 今回は民放(フジテレビ系列)が地上波で全試合中継してくれてありがたかったけど、ゴールデンタイムにもかかわらず視聴率はかなり苦戦したようだ。日本が韓国に勝って優勝を決めた翌日のスポーツニュースもMLBのオールスターの話題ばかり。メディアに大きく取り上げられることはなかった。同時開催されていた女子のE-1に至っては、大会が行なわれていたことすら知らなかった人も多いんじゃないかな。

 関心が低いのは日本だけでなく、開催国の韓国でも同じ。韓国戦含めてどの試合も観客席はガラガラだった。優勝のかかった日韓戦こそ約1万8000人入ったものの、それでもスタジアムの収容人数の半分。まあ、メンバー構成を見れば、それほど重要な試合ではないことがわかってしまうので仕方ないだろうね。個人的にも、ライバル韓国とのひさしぶりの試合なのに、盛り上がりが少なく、寂しく感じた。

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著者プロフィール

  • セルジオ越後

    セルジオ越後 (せるじお・えちご)

    サッカー評論家。1945年生まれ、ブラジル・サンパウロ出身。17歳の時に名門コリンチャンスのテストに合格し、18歳の時にプロ契約を結び、MF、FWとして活躍した。「エラシコ」と呼ばれるフェイントを発案し、ブラジル代表の背番号10を背負った同僚のリベリーノに教えたことでも有名。1972年に日本リーグの藤和不動産(湘南ベルマーレの前身)から誘いを受け、27歳で来日。1978年から日本サッカー協会公認の「さわやかサッカー教室」で全国を回り、開催1000回以上、のべ60万人以上を指導した。H.C.日光アイスバックスのシニアディレクター。日本アンプティサッカー協会最高顧問。公式ホームページ【http://www.sergio-echigo.com】

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