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サッカー日本代表・長友佑都は今も心を燃やす 狙うは「世界一」と言い続けるチーム最年長の思い (2ページ目)

  • 了戒美子●取材・文 text by Ryokai Yoshiko

【いつもの明るい表情から一変】

 翌13日、長友はあらためて報道陣の前に立ち、「試合を振り返り始めたら眠れなかった」ことを明かした。試合前日も興奮で寝つけず、睡眠時間は5時間程度。試合後は「ほぼほぼ寝てない」状態で練習に臨んだ。彼にとってこの1試合が、どれくらい重要だったかがうかがえる。

 それだけに、日本代表のプレーについては厳しく振り返った。

「ワールドカップの優勝(を狙う)メンバーの一員として考えるなら、足りないことが多すぎる。前半にミスもありましたし、あれをワールドカップでやってしまうと、カウンターを食らって危ない場面を作らせてしまう」

 現在の日本代表が世界一、ワールドカップ優勝を目標に掲げていることを念頭に、長友はそう語った。

 危機感はたっぷり。出場していない時の明るさとは対照的。長友は試合内容を反芻しつつ、厳しい表情を見せていた。日本代表の試合に復帰したことを喜んでいる段階は終了したと言わんばかりだ。

 もっともその発言は、長友が世界のトップを知っているからだ。キリアン・エムバペやヴィニシウスのようなワールドクラスの強みを単に「スピード」と表現するのではなく、彼らのようなレベルの選手と真剣勝負を繰り返し、時には勝利した経験があるからこそ言える。

 現在の日本代表がどのくらいの熱量で、「世界一」という目標を公言しているのか──。今回のメンバーでそのことを本当に理解しているのは、おそらく長友くらいだろう。

「馬鹿ではないから、客観視して自分がメンバーの一員として考えられてないかもしれないと感じていた部分もあった。だから、昨日(中国戦)は気持ちが入った」

 長友は「経験の伝え手」という役割だけでなく、「ひとりの選手」として存在感を示すことに意味があったことを強調する。

 これまで長友は、何度となく「世界一」という言葉を口にしてきた。筆者のなかで最初の発言として記憶にあるのは、2010年にFC東京から当時セリエAのチェゼーナへ移籍した時。「世界一のサイドバックになって、戻って青赤(FC東京)のユニフォームを着たい」と公言した。

 申し訳ないが、当時は荒唐無稽な話に感じた。しかし、わずか半年でインテルに移籍。そしてあらためて「世界一のサイドバックになる」と断言した。この時の「世界一」という言葉の信憑性が、一気に高まったのを覚えている。

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