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サッカー日本代表の致命的な問題は解消されず この3人がいなければ中国戦は危うかった (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki

【WBらしいWBの出現】

 欧州組重視を鮮明にする森保監督には、国内に留まる細谷が眩しく写らなかったのだろう。身長178センチのストライカー。欧州のクラブから声がかかりにくい理由だ。それでいて多機能ではない。ウイングはできない。サイドアタッカーとしての適性は、現時点で確認することができない。これは182センチのストライカー、上田綺世にも言えることだが、CF1本で勝負するには小さい。悪い選手ではないが、プレーの幅が狭い。ツボが限られている。

 細谷が欧州で活躍するためには、あるいは代表チーム内の優先順位で上田に勝るためには、上田にないドリブルワーク、ウイングプレーを身につけることではないかと、筆者は前から述べているが、この中国戦で決めたような鮮やかなシュートを見せられると、「惜しい」という気持ちは増す。

 予断を許さない1-0の状況から追加点が決まったのは後半19分で、ゲッターは望月だった。192センチ、81キロの右ウイングバック(WB)が、日本にダメ押しゴールをもたらしたのだ。かつての酒井宏樹(185センチ)も大きかったが、それをさらに上回るサイズ感である。

 香港戦のWBは166センチの相馬勇紀(左)と167センチの久保藤次郎(右)だった。後半、久保に代わって出場した佐藤龍之介も171センチである。また、この中国戦に左WBとして先発した俵積田晃太も175センチだ。事実上のA代表でWBを務める三笘薫(178センチ)、堂安律(172センチ)らも軽量級である。

 WBに求められる本来の適性から外れていると言わざるを得ない。縦幅105メートルを両サイド各ふたりでカバーする、4バック向きの選手たちで固められていると言うべきである。この持ち駒でなぜ3バック(5バック)で戦うのか。森保采配に異を唱えたくなる点のひとつである。

 サイドに伸びるその長い縦幅を単騎でカバーしようとしたとき、いの一番に求められるのはボールを運搬する走力と圧倒的な馬力だ。相手のふたり掛かりの攻撃をひとりでストップする頑丈な身体だ。アジアでは露呈しないが、出るところに出ると、十種競技の選手然とした、総合的な身体能力に富むスケールの大きな選手でないと務まらなくなる。

 そうした意味で望月の出現は大きい。ゴールを決めたことでさらなる自信をつければ、不安定な森保采配を助ける存在になる可能性を秘める。

 中国戦は、早川、細谷、望月の活躍がなければ、どうなっていたかわからない試合だった。

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著者プロフィール

  • 杉山茂樹

    杉山茂樹 (すぎやましげき)

    スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。

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