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サッカー日本代表の致命的な問題は解消されず この3人がいなければ中国戦は危うかった (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki

【ボールを失う位置が悪い】

 その6分前、細谷真大が決めた日本の先制弾も鮮やかなシュートだった。後半19分、望月ヘンリー海輝が蹴り込んだ追加点も印象的なゴールだった。しかし、この中国戦を語る時、一番のビッグプレーは何かと振り返れば、早川のセーブになる。代表のGK争いに一石を投じそうなワンプレーでもあった。

 結果は2-0。全体を通しての印象は、弱者の反撃に遭った香港戦の後半と似ていた。

 褒められた内容ではない。急造チームなので仕方がないとはいえ、チームとして何がしたいのか、サッパリ伝わってこないのだ。「4バックと3バックを併用した」ということだが、違いもよくわからずじまい。前にも述べたが、何をしたいから3バック(5バック)なのか、何をしたいから4バックなのか。目的を語らずに「可変」と言われても、可変する意味が伝わらない。

 3でも4でもボールを失う位置が悪い。真ん中に偏るという致命的な問題を森保サッカーは露呈させた。このあたりのベンチワークは、申し訳ないが率直に言って低レベルだ。世界基準を満たさない日本人スタッフの迷走。その結果が、香港戦の後半から症状として現れている。

 これでワールドカップ本大会が戦えるのか。心配になる。そんな稚拙な采配を早川のビッグセーブが救った、と言っても過言ではない。

中国戦で見事な先制ゴールを決めた細谷真大 photo by Fujita Masato中国戦で見事な先制ゴールを決めた細谷真大 photo by Fujita Masatoこの記事に関連する写真を見る 前半11分、細谷の先制弾も日本ベンチを救ったプレーと言える。田中聡の縦パスをゴール正面で受けるやきれいにターン。逆サイドの隅に流し込むようなシュートは、相手のCBのレベルを差し引いても鮮やかだった。相手を背にしてボールを受けターンしてシュート。細谷はこの試合で2度、3度と披露している。想起したのは昨年のパリ五輪のスペイン戦だ。オフサイドを取られた幻のゴールである。

 ひとつの形を持った選手。前半11分はその形にハマったシーンだった。しかし、細谷は純然たるA代表では活躍できていない。消化試合となったアジア3次予選対インドネシア戦に交代出場を果たすまで、しばらく招集外として扱われていた。

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