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サッカー日本代表と森保監督の価値観に変化を 遅すぎた代表招集・ジャーメイン良の爆発 (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki

【これまで低評価だったという事実】

 鈴木優磨は一度招集したものの、ケガで辞退となって以来、呼ばれていない。筆者は幾度となく、彼こそは日本に欠けているパーツだと指摘してきた。同じ目はジャーメインにも向けてきた。最近のスポルティーバの「次に代表に選びたい選手」のアンケートにも彼の名を記している。ボールを収める能力が高い選手であるからだ。しかも左利きである。懐が深い。意外性のあるボールの収め方ができる。空中戦も強い。2シャドーの右のみならず右ウイングとしての可能性もある。

 どんなに遅くても、昨季J2に転落したジュビロ磐田で19ゴールを挙げたタイミングで代表に選んでおくべきだった。格下との対戦が続いたワールドカップ予選などはその格好の機会で、同じメンバーで無意味な大勝を重ねる森保采配を筆者が批判してきた大きな理由のひとつである。

 ジャーメインは30歳にして代表デビューを飾った。森保監督が日本代表監督の座に就いたのは7年前。彼が大学を卒業し、Jリーガーになった時期とほぼ重なる。その間、一度も森保監督のお眼鏡にかなわなかった選手だったことを忘れてはならない。

 欧州でプレーした経験はない。ブランド力の低い国内組に留まった。一方で森保監督の欧州組を重視するブランド志向は増していき、メンバーの大半を欧州組から選ぶまでとなった。フィールドプレーヤーに限れば国内組の常連は長友佑都ぐらいに限られる。

 もし今回選ばれなかったら、ジャーメインは代表キャップが一度もないまま選手生活にピリオドを打った可能性がある。ここに長期政権の弊害を見る気がする。同じ人物が8年間に渡り代表監督を務めることは、その間、日本サッカーの価値観が変わらないことを意味するからだ。

 これまで評価してこなかった選手が、いきなり4ゴールを挙げる活躍をしたという事実は、そうした意味で皮肉である。森保監督にとって手放しで喜べない事象なのではないか。ジャーメインからすれば怒りの4ゴールだったかもしれない。

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