サッカー日本代表、1年後のワールドカップ本番に向けて、セルジオ越後「課題はワントップ」「長友を呼ぶのは気の毒」 (2ページ目)
【勝ち進むためには得点を取らないといけない】
こうして試合を重ねるなかで、"いつものメンバー"にどれだけ上積みができるか、どれだけ新戦力が出てくるか。6月の最終予選2連戦では右サイドの平河悠(ブリストル)がアピールに成功したけど、彼のような選手がひとりでも多く出ることで、チーム全体の底上げにつながる。
個人的に注目しているポジションは前述のワントップ。日本の守備は、誰が出てもある程度の計算は立つ。問題は攻撃で、結局、大きな大会で勝ち進むためには得点を取らないといけない。強豪と言われるチームにはたいていエースがいる。上田綺世(フェイエノールト)、町野修斗(キール)、前田大然(セルティック)、大橋祐紀(ブラックバーン)、小川航基(NEC)、細谷......と候補はたくさんいるので、誰かが突き抜けてほしいね。
まあ、ワントップの人材不足は今に始まったことではないし、他の国を見ても苦労しているところが多いから大変だとは思うんだけど、僕も今年で80歳になるから、そろそろ頼むよという感じだ(笑)。
最後に長友佑都(FC東京)について触れておきたい。ワールドカップ最終予選ではずっと招集されていたけど、出番は一度もなく、消化試合となった6月の2試合もベンチ外。そこでも使わないのなら、いつ使うのかという話で、森保一監督が純粋な戦力としては考えていないことは明らかだ。
それでも本人はチームのためになるのであればと、文句のひとつも言わずに盛り上げてくれているけど、これまで長年にわたって日本代表に尽くしてきて、また、あれだけ海外ですばらしいキャリアを積み重ねてきた選手に対する扱いとして、どうなのかと思う。「ブラボー!」と言わせて喜ぶだけでいいのか。とても気の毒だ。試合で使う気がないなら、最初からコーチとして呼ぶべきだし、そういう声がまったく聞こえてこないのは不思議だね。
著者プロフィール
セルジオ越後 (せるじお・えちご)
サッカー評論家。1945年生まれ、ブラジル・サンパウロ出身。17歳の時に名門コリンチャンスのテストに合格し、18歳の時にプロ契約を結び、MF、FWとして活躍した。「エラシコ」と呼ばれるフェイントを発案し、ブラジル代表の背番号10を背負った同僚のリベリーノに教えたことでも有名。1972年に日本リーグの藤和不動産(湘南ベルマーレの前身)から誘いを受け、27歳で来日。1978年から日本サッカー協会公認の「さわやかサッカー教室」で全国を回り、開催1000回以上、のべ60万人以上を指導した。H.C.日光アイスバックスのシニアディレクター。日本アンプティサッカー協会最高顧問。公式ホームページ【http://www.sergio-echigo.com】
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