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サッカー日本代表の9月のメキシコ戦はオークランド・コロシアムで開催「野球場でサッカー」の歴史 (3ページ目)

  • 後藤健生●文 text by Goto Takeo

【東京ドームでもサッカーが行なわれた】

 Jリーグ開幕前後にも、プレシーズンマッチなどで各地の野球場が使われた。

 1989年にはマンチェスター・ユナイテッドが来日したが、日本代表との試合は国立競技場ではなく、お隣の神宮球場の人工芝の上で行なわれた。

 横浜スタジアム(横浜DeNAベイスターズの本拠地)は1978年に完成した比較的新しい球場だが、ピッチャーズマウンドが昇降式で、内野スタンドの一部も可動式となっており、野球以外にアメリカン・フットボールやサッカーにも使用できる設計となっていた。実際、横浜スタジアムではJリーグクラブのプレシーズンマッチが何度か行なわれている。

 1988年に完成した日本初のドーム球場、東京ドームでも1994年と1995年に「東京ドームカップ」という大会が行なわれ、ブラジルのクルゼイロやコロンビアのジュニオールが来日してJリーグクラブと試合をしている。

1995年の東京ドームカップ。コロンビアのカルロス・バルデラマがプレー photo by AFLO1995年の東京ドームカップ。コロンビアのカルロス・バルデラマがプレー photo by AFLOこの記事に関連する写真を見る ただ、日本の野球場はドーム球場以外でもほとんどが人工芝だったので、サッカーの公式戦は実施できなかった。東京ドームカップでは人工芝の上に天然芝を敷き詰めて使用されたが、芝生が根付いていなかったのでプレーが難しかったうえ、除虫剤の悪臭が立ち込めて評判が悪かった。

 そして、2002年W杯の日韓共同開催が決まった1990年代後半以降、サッカーに使用可能な大規模球技場や陸上競技場が各地に完成したため、野球場でサッカーが行なわれることはなくなった。

 唯一の例外は天然芝の可動式ピッチを使用した札幌ドームだったが、北海道日本ハムファイターズは2023年以降、自ら建設したエスコンフィールドを使用するようになり、定期的使用者は北海道コンサドーレ札幌だけとなっている。

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著者プロフィール

  • 後藤健生

    後藤健生 (ごとう・たけお)

    1952年、東京都生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了(国際政治)。1964年の東京五輪以来、サッカー観戦を続け、1974年西ドイツW杯以来ワールドカップはすべて現地観戦。カタール大会では29試合を観戦した。2025年、生涯観戦試合数は7500試合を超えた。主な著書に『日本サッカー史――日本代表の90年』(2007年、双葉社)、『国立競技場の100年――明治神宮外苑から見る日本の近代スポーツ』(2013年、ミネルヴァ書房)、『森保ジャパン 世界で勝つための条件―日本代表監督論』(2019年、NHK出版新書)など。

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