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谷口彰悟がアキレス腱断裂から復帰 大ケガをしてあらためて気づいた多くの人たちの支え (3ページ目)

  • text by Harada Daisuke

【目を向けるべきは過去よりも未来】

 アキレス腱の断裂という事実を突きつけられた自分は、精神的にも落ち込んだ。すぐに気持ちを切り替えて、「ここからまた強くなろう」と思うことはできなかった。それは偽ることのない当時の率直な心境だ。

 プロになって12年目になるが、これまで長期離脱を強いられる負傷を経験したことはなかった。その事実は、本当に幸せなことだったとあらためて実感しているが、今回、大ケガを負ったからといって、その事実に対しては、何か特別な感情や思いを抱くことはなかった。

 もちろん、アスリートである以上、ケガをしないに越したことはない。でも、ケガをしてしまったからといって悩んだり、後悔したりしたところで、その事実が消えるわけではない。

 大事なのは、そこからどういった過程を踏んで再びピッチに立てるのか。目を向けるべきは、過去よりも未来なのは明白だった。

 そう思うことができたのは、自分のもとに届いた、多くの人からの励ましの声だった。

 ドクターからも説明は受けたが、自分自身でもアキレス腱の断裂から復帰する過程については調べた。また、届いたメッセージのなかには、自分と同じくアキレス腱断裂を経験したことのある選手もいた。ケガを完治させて復帰している事実を伝えてくれるとともに、心強い言葉が添えられていた。

「だから大丈夫。しっかり治るからな」

 経験者だけでなく、メッセージを送ってくれた人たちからの言葉は、自分が前を向くきっかけになり、支えになった。

 常日頃から感じていることではあるが、ケガをしてあらためて自分は多くの人たちに支えられてプレーできていることを実感した。

 所属するシント・トロイデンの理解もあり、僕は日本でオペを受けることにした。もちろんベルギーでも手術を受けることは可能だったが、「安心できる環境がいいだろう」と選択を委ねてくれたクラブにも感謝している。

 左足のアキレス腱を断裂するケガを負った自分はその翌日、手術を受けるため、日本に帰国した。

◆第28回につづく>>

【profile】
谷口彰悟(たにぐち・しょうご)
1991年7月15日生まれ、熊本県熊本市出身。大津高→筑波大を経て2014年に川崎フロンターレに正式入団。高い守備能力でスタメンを奪取し、4度のリーグ優勝に貢献する。Jリーグベストイレブンにも4度選出。2015年6月のイラク戦で日本代表デビュー。カタールW杯スペイン戦では日本代表選手・最年長31歳139日でW杯初出場を果たす。2023年からカタールのアル・ラーヤンSCでプレーしたのち、2024年7月にベルギーのシント・トロイデンに完全移籍する。ポジション=DF。身長183cm、体重75kg。

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著者プロフィール

  • 原田大輔

    原田大輔 (はらだ・だいすけ)

    スポーツライター。1977年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌『ワールドサッカーグラフィック』の編集長を務めたのち独立。Jリーグを中心に取材し、各クラブのオフィシャルメディアにも寄稿している。主な著書に『愛されて、勝つ 川崎フロンターレ「365日まちクラブ」の作り方』(小学館クリエイティブ)など。

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