サッカー日本代表はまたもオールスターキャスト 目の前の試合への固執にこれだけの弊害 (2ページ目)
【選手は欧州サッカーの一員として生活を送っている】
日本代表メンバーを発表する森保一監督と山本昌邦ナショナルチームダイレクター photo by Fujita Masatoこの記事に関連する写真を見る 世界のサッカー界において、代表チームの活動はメインではない。Jリーグの試合にニュースバリューが著しく乏しい日本は、必然的に代表チーム中心になるが、世界はそうではない。W杯本大会に出場してくる各国の代表級の結集する欧州の場合はとりわけである。森保、山本両氏が今回に限らず発している言葉は、まさに非欧州的だ。
欧州でプレーする日本人選手は、いまやそれなりに知名度のある選手だけでも100人に迫る。こうした時代にあって両者の欧州的感覚を著しく欠くドメスティックな言葉の数々を耳にすると、それこそが日本代表強化の足枷になっているのではないかと憂いたくなる。代表選手の大半を占める欧州組は普段、欧州サッカーの一員として選手生活を送る。そこに代表ウィークが近づくと、日本的な価値基準が迫ってくるという構図だ。
森保監督はつい半月ほど前、欧州から視察を終えて帰国すると、記者団の前で欧州への移住計画を口にした。発案者は誰なのか。協会なのか、森保監督自身なのか。森保監督の思いつきだとしたら、"順序"に問題ありと言いたくなったが、計画そのものには大賛成だった。代表監督だけがもっぱら日本に留まっていては、選手と感覚を共有することはできない。
何より森保監督に不足する欧州的な感覚を学ぶにはもってこいの機会だ。欧州のトップモードを直に見る。関係者に話を聞いて知見を深めることができれば、監督としての感覚が養われること請け合いだ。同じ常識を共有することで選手との関係も円滑になるだろう。世界の一流監督は監督会見等々で何を口にしているのか。監督の振る舞いを実際に見て学ぶこともできる。日本の常識でしかサッカーを語れない監督から脱することができる。
代表監督とクラブの関係。代表戦とクラブマッチとの関係。代表選手の選び方等々、見習うべきサンプルはいくらでもある。いまこの段で、選手をまったく試そうとしない姿勢がどれほど愚かなことか。前回の藤田譲瑠チマのように、新たな選手を招集しても試合にまったく使わない采配が、いかに愚かなことか、身をもって学習することができるだろう。サッカーという文化を学ぶいい機会とすることができる。
2 / 4