なでしこジャパンが覚醒! ニールセン新監督の指揮で強敵アメリカ撃破 何が起こった? (3ページ目)
【どのメンバーでもプレスが効き続けた】
驚くべきは、現状のベストと目されたスタメンで臨んだ初戦(オーストラリア戦)だけではなく、5名を入れ替えた2戦目のコロンビア戦でもプレッシングが効いたことだ。多少布陣を変えても、プレスは効き続ける。さらに今大会の出場国では別格の実力を誇るアメリカに対しても、引かずにプレスをかけ続けることがきた。ポゼッション率もわずかながらアメリカを初めて上回るというオマケつきだ。
また、トランジションにこだわったことでゴールの形も多彩になった。全10得点中、セットプレーからのゴールを除いた6ゴールは、すべて異なる形で得点者もさまざま。いずれも前半の早い段階で先制点を奪ったことで、相手のゲームプランを崩し、自分たちのペースに持ち込めた。
アメリカに対してもいっさい引かず、ニールセン監督の求めた「何が起きてもやり続ける」ことをやめなかったことで掴んだこの大会初優勝。新体制での初遠征にして、「最初は選手たちがあまり話してくれなかった」と苦笑いする新指揮官への信頼は揺るぎないものになった。
ただし、今大会の参加国すべてが次のオリンピックへ向けてのチーム作りに着手したばかりで、メンバーも定まっていない点は考慮しなければならない。この優勝でなでしこジャパンの強さが示されたわけではないのだ。
だが、他国と同じスタート地点でありながら、日本には高いポテンシャルがあることは証明された。中2日で飛行機移動を挟む3連戦。いつも過酷な『SheBlieves Cup』は、世界の頂を狙う自信を選手たちに抱かせた。新生なでしこジャパンは大きな一歩を踏み出した。
著者プロフィール
早草紀子 (はやくさ・のりこ)
兵庫・神戸市生まれ。東京工芸短大写真技術科卒業。在学中のJリーグ元年からサッカーを撮りはじめ、1994年からフリーランスとしてサッカー専門誌などに寄稿。1996年からは日本女子サッカーリーグのオフィシャルカメラマンも担当。女子サッカー報道の先駆者として、黎明期のシーンを手弁当で支えた。2005年より大宮アルディージャのオフィシャルカメラマン。2021年から、WEリーグのオフィシャルサイトで選手インタビューの連載も担当。
【写真】なでしこジャパン長谷川唯&長野風花フォトギャラリー
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