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サッカー日本代表の1年を論点整理 W杯予選首位独走の陰に山積するこれだけの問題点 (3ページ目)

  • text by Sportiva

【「久保は呼ぶけど三笘は呼ばない」もあり】

杉山 その新しい勢力図は、遅くとも4戦目を終えた段階でわかっていたはず。そのうえで日本はどうするかという5戦目、6戦目で、またベストメンバーを選んでしまった。

浅田 百歩譲って、予選突破までは勝ちに徹するんだという意見をのんだとしても、ここから先、本大会に向けてどう進展させていくのか。

杉山 一方で、ヨーロッパのクラブにいる選手でも呼ばれてない選手はたくさんいるでしょう。今回の予選では大橋が招集されていたけど、コンセプトをちょっと変えて、少し下のカテゴリ―の人を呼ぶだけでもずいぶん違う。今のレギュラーも2026年にはケガをしている可能性、所属クラブで出られなくなっている可能性は十分ある。今のベストがいつ崩壊するかなんて誰もわからない。その備えはまったくできていない。

 代表メンバーの27人を30~40人ぐらいで回していくことができれば、負担を分散させることもできる。たぶん森保監督もサッカー協会の幹部も、今の選手がどれぐらい大変かわかっていないと思います。チャンピオンズリーグやヨーロッパリーグを含めてこれだけのハードスケジュールで戦ってきた人はいないから。

浅田 毎回ターンオーバーで全員を入れ替える必要はないけど、「今回、三笘薫は呼ぶけど久保建英は呼ばない」「久保は呼ぶけど三笘は呼ばない」ということがもっとあってもいい。それが、彼らに何かがあったときの備えにもなる。

杉山 たとえば右ウイングに久保、堂安律、伊東純也がいるとして、毎回3人とも呼ぶ必要はあるのか。左も三笘、中村敬斗、前田大然がいて、同じことが言える。ひとりはお休みにして、別の新しい人を入れても、誰も文句は言わないでしょう。

浅田 しかも、呼んでも使わないことがある。普通、インドネシア戦に4点リードしたら、藤田を出してくれよと思いますよね。

 ただ、あえて森保監督を擁護するとすれば、ベストメンバーを集めたくなる理由がないわけではない。日本代表に関して、テレビ地上波の放送がなくなったり、配信も怪しくなったりという状況で、ベストメンバーは来ないけど「中継してください」「チケット買ってください」と言っても、「それは......」という話になるでしょう。「こちらも最大限、ベストを皆さんにお見せできるように努力します」という姿勢を見せなければならないという気持ちは、わからなくもない。

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