サッカー日本代表の1年を論点整理 W杯予選首位独走の陰に山積するこれだけの問題点 (2ページ目)
【著しいJリーグの空洞化】
浅田 とはいえ、もっと国内組中心で戦う代表戦があってもいいんじゃないかとずっと思ってきたけど、ここ最近のJリーグを見ていると、人材不足は明らかで、「おお、これは」という選手があまりいなくなった。「国内組で......」と言いにくい感じは正直、ちょっとあります。たとえば2022年のE-1選手権で優勝した時は、藤田譲瑠チマとか岩田智輝とか、横浜F・マリノスの選手を中心に「こういうメンバーの試合もあったほうがいい」と思えたのですが、もうそういう感じはない。
杉山 国内組に関しては、魅力的な選手がここ1、2年で極端に減ったのは確かですね。
浅田 一時期、大卒ブームみたいなものがあって、大卒で代表に入る選手が増えました。一方で海外移籍24歳限界説みたいなものがあって、それにのっとれば、大卒の選手は大学を出てJリーグに入り、1、2年で欧州のクラブに移籍するぐらいでないと間に合わなかった。ただその後、よく言えば日本の選手の価値が認められて、ブラックバーンの大橋祐紀がいい例だけど、24歳よりもう少し上でも行けるようになった。それによって、悪く言えば猫も杓子も欧州に行けるようになった結果、いよいよJリーグの空洞化が著しくなった印象です。
杉山 価値が認められたのはいいことだけど、そういう時代に日本代表はどう対応するかですね。
浅田 それ以上に、今回のW杯予選を見ていての一番の感想は、思った以上に他国が弱いこと。もともと日本が出場を逃す心配は1ミリもしてなかったけど、こんなにも弱いのか、と。
杉山 オーストラリアもサウジアラビアも目も当てられない。
浅田 2010年大会の予選の時はアウェーでオーストラリアに負けていましたが、足をすくわれたというのではなく、力負けに近かった。もうそんなムードはまったくない。始まる前、僕は日本とサウジアラビアが2強で、少し落ちてオーストラリア、それをインドネシアかバーレーンが食うかもしれない、というような勢力図だと思っていたけど、始まってみたら単なる日本の1強5弱だった。
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