元サッカー日本代表・豊田陽平が語るストライカーの資質 「悪役になることを意識していた」 (3ページ目)
その結果、豊田は敵から恐れられるストライカーになった。それだけの実力があった、とも言えるが、自らが作り出したパーソナリティこそ、欠かせない要素だったのだ。
「ピッチ内では悪役だったので、ピッチ外では"徳を積む"という気持ちは強かったですね。ズルはしないことだったり、道端で転がっているゴミは自分から拾ったり、とかですが」
彼はそう言って笑ったが、そうやって心のバランスを取っていたのだろう。そこまで徹底しなかったら、これだけ点を取り続けることはできかったのかもしれない。
「嫌われたらどうしよう?」
そんな"怯懦(きょうだ)"に負ける善人は、ストライカーの資質を欠いているのだ。
【profile】
豊田陽平(とよだ・ようへい)
1985年、石川県生まれ。星稜高校卒業後、名古屋グランパス入団。その後、モンテディオ山形、京都サンガ、サガン鳥栖、蔚山現代、栃木SCでプレーし、2022年からツエーゲン金沢に。2008年、北京五輪に出場。2013年、アルベルト・ザッケローニによりフル代表に初選出。
著者プロフィール
小宮良之 (こみやよしゆき)
スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。
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