サッカー日本代表の攻撃陣が機能しない理由 なぜ所属クラブと異なる起用法をするのか (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki

【なぜ「並び」を変えてしまうのか】

 先発して後半17分までプレーしたインドネシア戦にも同じことが言えた。これがあのブライトンの左ウイングとしてプレミアリーグを席巻している三笘なのか。にわかには信じ難いと思った人がいても不思議はない。ヘタに見えたとまでは言わないが、存在感は希薄だった。

 久保も同様だ。直近のスペインリーグの対バルセロナ戦で、マン・オブ・ザ・マッチに選ぶメディアもあった選手にはとても見えなかった。4-1-4-1的な4-3-3の右ウイングとしてプレーする久保と、3-4-2-1の「2」の右でプレーする久保。どちらのほうが魅力的かと言えば、断然、前者になる。左利きのキツい選手が自慢のドリブル&フェイントを披露する場として、どちらのポジションが活きるか、効果的か。レアル・ソシエダの現監督イマノル・アルグアシルをはじめ、久保とスペインで関わった監督、指導者はこれまでなぜ彼を右ウイングとして起用してきたか。

 三笘と久保は、言ってみれば日本の看板だ。世界に誇るドリブラーをなぜ、ウイングバックやシャドーで使うのか。3-4-2-1なる布陣に落とし込み、並び替えようとするのか。中村、伊東も所属のランスでは4-3-3の両ウイングだ。後半39分、久保と交代でシャドーに入った前田大然も、所属のセルティックでは4-3-3の左ウイングとしてプレーする。

 トップ以外のアタッカー陣のなかで、所属クラブと森保ジャパンとでポジションが重なる選手はクリスタルパレス所属の鎌田に限られる。練習時間が少ない代表チームは、選手が所属する各クラブの最大公約数的なサッカーを目指すことが、欧州では常道とされる。布陣はクラブサッカーからの借り物であるべきで、代表監督が妙なオリジナリティを実践する場ではないとされている。

 なぜ、森保監督は選手の並びを大幅に改造するのか。「臨機応変」とか「賢くしたたかに」と言って誤魔化してはいけない。相手が弱すぎるのでそれでも何とかなっているが、何とかならない日は早晩、訪れる。

3 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る