サッカー日本代表の攻撃陣が機能しない理由 なぜ所属クラブと異なる起用法をするのか (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki

【三笘が活躍できなかった理由】

 まずまずだったのは伊東ぐらいで、頭で2ゴールを決めた小川にさえ物足りなさを感じた。流れのなかでボールに絡む機会は多くなく、ポストプレーによって攻撃を円滑にすることはできずじまい。オランダリーグで見せているプレーのほうが断然よかった。

 最も低評価を下したくなるのがインドネシア戦の三笘薫に代わって先発した中村で、自慢のドリブル突破を披露する機会はなかった。左サイドからの流れは伊東が構える右サイドに比べると格段に悪かった。

 それは2シャドーの存在と深く関係する。伊東の横には久保がいた。右サイドが、ウイングバックとシャドーのふたりが近い距離で、コンビネーションプレーを図れる状態にあったのに対し、左はそれが期待できない関係にあった。久保が所属のレアル・ソシエダで主に右ウイングを務めるのに対し、南野は所属のモナコで1トップ下、あるいは1トップ脇だ。ウイングを本職とする久保と、真ん中寄りでプレーする南野の違いがあった。

 南野にサイドアタッカーとしての適性がないことは、今年1月に行なわれたアジアカップでも明らかだった。1-2で敗れたイラク戦では、南野を4-2-3-1の「3」の左で使ったことが、左サイドからの攻撃を滞らせ、相手ボール時に穴を作る原因になっていた。3-4-2-1はSBがいない布陣なので、その南野をシャドーの左で使えば、ウイングバックが孤立するのは当然の帰結。中村が悪かったというより、中村と南野の関係が悪かったのだ。

 これくらいのことは少し考えればわかることである。

 後半19分、その南野と交代で入った鎌田大地にも似たようなことは言える。サイドと中央、どちらに適性があるかと言えば、断然、後者だ。それが、同じタイミングで中村に代わってピッチに登場した三笘薫が活躍できなかった理由である。

 ブライトンの三笘は、直近のリバプール戦、マンチェスター・シティ戦で、採点すれば7点近い評価を下すことができる活躍を見せていた。チャンピオンズリーグの優勝候補を向こうに回し、一歩も譲らぬプレーを見せたものだ。中国相手なら、自慢のドリブル&フェイントを披露する機会は、頻繁に訪れると考えるのが自然だろう。

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