サッカー日本代表に膨らむ疑問――新陳代謝が進まぬチームをよしとする森保監督の言葉に萎えた (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki

 つまり、これまでの4試合で先発出場した選手は13人しかおらず、交代出場を含めても、ピッチに立つ機会を得た選手は全部で19人。毎回27人ずつ招集していることを考えると、10人近くが長旅を強いられた挙句に、まったく試合に出ることなく一連の活動を終えているのだ。

 確かに、目先の試合に勝利する確率を高めるためには、メンバーの固定は有効策だろう。だが、このチームの最終目標は、「ワールドカップでベスト8に進出すること」ではないのか。

 だとすれば、今はもっと多くの選手を起用してピッチに立たせ、選手層を厚くしていく時ではないのか。それこそが2年後を見通した時、チーム力を最大限高めることにつながるのではないのか。

 これまでの4試合で先発出場した13選手のうち、前回のワールドカップメンバーに選ばれていなかったのは、鈴木彩艶と町田浩樹だけ。交代出場の選手に目を向けても、中村敬斗と小川航基、高井幸大が加わった程度だ。

 チームの底上げを期待されるパリ五輪世代にしても、鈴木以外に該当選手はおらず、細谷真大も、藤田譲瑠チマも、それぞれ9月と10月の活動に招集こそされたが、一度も出場機会を得ることはなかった。

 また、ヨーロッパでチャンピオンズリーグデビューを果たした荻原拓也も、チェイス・アンリも、招集すらされていないのである。

"ポスト・カタール"の新陳代謝は、およそ活発に進んでいるとは言い難い。

「最終予選でできるだけ選手を変えないのは、(新たな選手が加わることで生じる)確認事項をできるだけ少なくするため。慎重にやらせてもらっているところはある」

 森保監督がそうも語っているように、ワールドカップでベスト8に進出するためには、まずはワールドカップに出場しなければ始まらない。とにもかくにも、万難排して出場権を獲得することが何より先決だ。その理屈はよくわかる。

 また、前回ワールドカップの最終予選に続いて今回もアウェーゲームはテレビ放送されておらず、日本代表人気の低下がささやかれる昨今、すべての試合に本気度を示さなければならない、という事情もあるのかもしれない。

 だとしても、である。

 いかにオーストラリアの守備が固かったとはいえ、有効な打開策を見出せないままホームで引き分けたにもかかわらず、指揮官の口からは選手を称える言葉しか聞かれず、11月の試合ではまた同じ顔ぶれがピッチに立つ。

 これで本当にチームの強化につながっているのだろうか。

 森保監督の口から今後の方針がはっきりと示された今、大幅にメンバーが入れ替わり、新戦力が登用される可能性は極めて低い。今はただ、1試合でも早くワールドカップ出場が決まることを願い、1試合でも多くの"消化試合"が生まれることを期待するしかなさそうだ。

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