林陵平が解説するサッカー日本代表のサウジアラビア戦完封劇 「先制点が決まったカラクリ」と「したたかな守備戦術」 (3ページ目)
【左右のサイドで守備の作り方が違った】
先制されたサウジアラビアは勢いを出してきて、その後日本は守る時間帯が長くなりましたが、ここでの守備の作り方もすごくよかったと思います。
今回は左右で守備の作り方が違いました。
相手の左ウイングにエースで突破力のあるサレム・アルドサリがいたので、こちらは堂安と南野で挟むような形で人を割いていました。
前線は上田綺世と鎌田。鎌田の位置が面白くて、通常であれば5-4-1で守るので左サイドに構えるはずなんですが、鎌田は前に出て行って相手の右CBを少し牽制して守っていました。上田は左CBのほうを見ているので、右CBが持つと右SBにボールが出るんですよね。
ここに対して、日本はWBの三笘がスライドして前に出て行くんです。そして三笘がスライドした後ろ、縦に入ってきたボールに対しては、3バックの左の町田がスライドして相手を捕まえに行っていました。町田の守るスペースが右に比べて広くなるんですが、よく相手を捕まえに行って結構つぶしていた。この町田の成長にも感心しました。
こうして右サイドはS・アルドサリを気にしてあまり出て行かず、左サイドにボールを出させて全体をスライドさせる。この左右の守備の仕組み作りは、非常によかったと思います。
前半はGK鈴木彩艶のビッグセーブもありました。GKがあのように止めてくれると、チームも安定して戦えます。
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