林陵平が解説するサッカー日本代表のサウジアラビア戦完封劇 「先制点が決まったカラクリ」と「したたかな守備戦術」 (4ページ目)

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【我慢の時間帯からしたたかに2点目】

 後半の頭から伊東純也が右WBに入って、右シャドーに堂安が移動し、南野が交代しました。鎌田は残る形になりましたが、彼は本当に上手ですね。

 鎌田と守田は、相手の立ち位置に応じていろんなプレーができる。後ろの味方が相手に捕まっていれば、少しポジションを下げてサポートしたり、サイドに流れてボールを受けたり、味方のスペースを作ったりも上手です。

 ピッチにいると、チームとしてすごく助かる選手たちなんです。このふたりが中盤にいてくれるのは、やはり戦術的にすごく大きいなと思いました。

 ビルドアップでは、後ろが3枚でも前進できたシーンがあります。3バック+2ボランチがサウジアラビアにつかれていたところを逆手にとって、3バックから空いている2シャドーのところに一気にパスを入れました。

 3バックから2ボランチへのパスではなく、そのひとつ奥を見ることができれば完全にプレス回避できる。後ろの選手が、どこを探してボールの出口にするかで、全然違った展開になるのがわかりました。だから、すべて後ろを4枚にしてビルドアップする必要もないわけです。

 後半も、基本的には我慢をする時間帯が多かったなと思います。

 守備は5-4-1のブロックを組むことが多くなりました。サウジアラビアは途中3バックにして、3-1-4-2の形で攻めてきましたが、日本はシステム的にはかみ合わせがよくなり、誰が誰を見るかがはっきりしてきてかえって守りやすかった。左のWBに前田大然を入れた交代策も早くてよかったですね。結局サウジアラビアはうまくいかず、最後はまた4バックに戻していました。

 日本はずっと守りながら、状況に応じてカウンターに出る展開でしたが、81分にCKのチャンスから小川航基がゴールを奪って2-0。このあたりは、やはり日本のしたたかさがすごく見えたゲームだったと思います。

著者プロフィール

  • 林 陵平

    林 陵平 (はやし・りょうへい)

    1986年9月8日生まれ。東京都八王子市出身。ジュニアからユースまで、東京ヴェルディの育成組織でプレーし、明治大学を経て2009年に東京ヴェルディ入り。レフティの大型FWとして活躍した。10年に柏レイソルに移籍し、11年にJ1優勝を経験。その後、モンテディオ山形、水戸ホーリーホック、再び東京Ⅴ、FC町田ゼルビア、ザスパクサツ群馬でプレーし、20年に現役を引退。Jリーグ通算300試合出場67得点。現役時代から海外サッカー通として知られ、メディア出演多数。現在はプレミアリーグからJリーグまで幅広く解説を務め、トップランナーとして活躍中。

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