サッカー日本代表がサウジアラビアと対戦 アラブ諸国の「お金」は世界のフットボールを変えるか (4ページ目)
【チームの強化は苦戦中】
しかし、Jリーグが始まった1990年代に日本の強化が進み、オーストラリアがオセアニア連盟からAFCに転籍したこともあって、中東諸国の相対的な地位は低下。2022年カタールW杯では、サウジアラビアは初戦でアルゼンチンに逆転勝ちしたものの、カタールもサウジアラビアもともに最下位でグループリーグ敗退。FIFAランキングでも、カタールがアジアのなかで5番目、サウジアラビアは7番目と順位を低下させている。
国内リーグでも高給が保証されているため、選手たちは海外リーグに出たがらず、また、アラビア半島周辺以外への長距離移動の経験が少ないため、中東勢はW杯最終予選で苦戦を強いられる。
2026年W杯最終予選でも、サウジアラビアはホームでの開幕戦でインドネシアと引き分け、2戦目では日本が7ゴールを奪って圧勝した中国に2対1でなんとか勝利を収めている。10月シリーズでの日本とのホームゲームは、サウジアラビアにとってはサバイバルのための戦いとなる。
著者プロフィール
後藤健生 (ごとう・たけお)
1952年、東京都生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了(国際政治)。1964年の東京五輪以来、サッカー観戦を続け、1974年西ドイツW杯以来ワールドカップはすべて現地観戦。カタール大会では29試合を観戦した。2022年12月に生涯観戦試合数は7000試合を超えた。主な著書に『日本サッカー史――日本代表の90年』(2007年、双葉社)、『国立競技場の100年――明治神宮外苑から見る日本の近代スポーツ』(2013年、ミネルヴァ書房)、『森保ジャパン 世界で勝つための条件―日本代表監督論』(2019年、NHK出版新書)など。
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