サッカー日本代表は史上最強!? それでも今見てみたい、試すべき新しい選手とは? (2ページ目)

【バックアップが見当たらないポジションがある】

小宮良之(スポーツライター)

<この選手のプレーが見たい!>
橋本拳人(MF/エイバル) 
高丘陽平(GK/バンクーバー・ホワイトキャップス) 
大橋祐紀(FW/ブラックバーン)or町野修斗(FW/キール)

 日本代表の選手層は、かつてないほど分厚くなっている。海外で結果を残している日本人選手だけで、2チーム分は代表を作れる時代が来たのだ。

 たとえば三笘薫は別格に見えて、中村敬斗も違うスタイルでチームに貢献できる。久保建英は抜きんでたセンスを見せるが、堂安律や伊東純也も異なるリズムを持っている。中盤では鎌田大地と守田英正は、十分に併用できる。ディフェンスも3枚、4枚とどちらもできるセンターバックが数多く台頭してきた。

 ひとりだけバックアップが見当たらないのが、遠藤航だ。

 遠藤の屈強さと気の利いた攻守は、唯一無二だろう。ポジションを保全しながら攻撃にも出て、簡潔にプレーできる先見性がある。そして、受けに回った時の高さや強さは頼もしい。

 守田は遠藤のパートナーとしては最適だし、近い仕事もできる。しかし、高さや強さでやや不安が残る。そもそも彼にはポジションがあって、遠藤の代役ではない。

 その点、推奨したいのが橋本拳人である。橋本は遠藤の仕事をそのまま請け負える。実際、遠藤がポジションを奪い取るまで、定位置を守っていた。

 今シーズン、橋本は1部復帰を目指すエイバルのMFとしてプレーしている。開幕後の入団のせいでデビューは遅れていたが、先日のアルメリア戦でピッチに立った。昨シーズンも同じ2部のウエスカでレギュラーとしてプレーし、持ち味の守りと攻撃のバランスを取れる能力は健在。チームのシーズンベストゴールも決めた。

 W杯でベスト8まで勝ち抜くには5試合を戦う。そのすべてで遠藤を使い続ければ最後は息切れするだろう。それだけに......。

 一方、GKは確定的な選手がひとりもいない。

 なぜ森保一監督は、高丘陽平をメンバーに選ばないのか?

 高丘は横浜F・マリノスをJリーグで優勝に導き、ベストイレブンにも選ばれている。その座に満足せず、MLSに挑戦して定位置をつかみとった。そして、リーグのなかでの評価を高め続けている。にもかかわらず、たったの一度も代表メンバーに入っていないのだ。

「体格が小さい」

 そうした言い訳が思い浮かぶが、海外でやれている時点で成立しない。高丘はゴールキーピング全体も洗練されているし、そもそもリベロGKで日本人屈指の足元のうまさを誇る。「ボールを持つ時間を長くする」を志向する森保ジャパンの戦術に合うはずだが......。

 おそらく、森保監督は鈴木彩艶に"投資"しているのだろう。ただ、代表に呼ぶことが成長に水を差しているように見える。アジアカップで戦犯のようにしてしまった采配は、非難されて然るべきだろう。リーグ戦で1、2シーズン、しっかりと定着してプレーさせ、技術を実戦に馴染ませるべきだ。

 最後に、FWは結果を残している"旬な選手"を選ぶべきではないか。

 今回で言えば、大橋祐紀、町野修斗はイングランド、ドイツでカップ戦を含めてそれぞれ5得点を記録している。大橋はサプライズだし、町野は昨季1部昇格にも貢献し、成長を証明。

 好調なストライカーは、チームにもよい波動を与える。ストライカーはタイミングの生き物だけに、「将来性」というあやふやな理由より、シンプルに数字で選ばれるべきだ。

後編「『弱いポジションにバックアップを』識者が選んだ新顔選手たち」につづく>>

著者プロフィール

  • 杉山茂樹

    杉山茂樹 (すぎやましげき)

    スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。

【画像】サッカー日本代表 2026年のメンバーはこうなる! 識者たちが予想したフォーメーション

2 / 2

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る