サッカー日本代表の「新顔」望月ヘンリー海輝がサイドバックの序列を崩す 指揮官も絶賛「恐ろしいスピードが出る」 (2ページ目)
【22歳を取り巻く空気は劇的に変わった】
代表メンバー発表から2日後に行なわれたJ1リーグ第29節の浦和レッズ戦で、望月は4-4-2の右サイドバックで先発した。20分には攻撃で持ち味を発揮する。左センターバックの中山雄太のフィードを敵陣で受けると、冷静なトラップからの鋭いターンで縦へ抜け出す。グラウンダーのクロスが、藤尾翔太の決定的なシュートを導いていた。
だが、チームは前半を0-1で折り返し、黒田監督は後半開始から動く。守備時と攻撃時でシステムを可変させる戦略とし、右サイドバックを望月から鈴木へ代えたのだった。
試合後の記者会見で、黒田監督は前半で下げた望月を気遣った。
「重圧のかかる試合では、平常心でプレーできないメンタルの弱さもあります。日本代表という重い荷物を背負わされるような状況で試合に入りましたし、まだプレッシャーを力に変えられるような選手ではないですから、難しい状況だったかもしれません」
望月自身は「試合の入りはあまりよくなかったですが、自分の出来がメチャクチャ悪かったというわけじゃなかったです」と振り返る。黒田監督の記者会見でのコメントを聞くと、「なるべく試合に集中しようと考えていたんですけど、やっぱりちょっと難しいところはあったかな、と思います。今日の試合に100パーセント集中していたつもりでしたが、外から見たらそうではなかったのかな」と言う。
長身が目につく彼がミックスゾーンに出てくると、どの選手よりも多くの記者が集まった。22歳を取り巻く空気は、この数日で劇的に変わっている。
望月自身の心境には、まだ、変化はない。代表合流について聞かれると、「ううん、まあ、そうですね......あんまりそこは考えていなかったです」と率直な思いを明かしつつ、言葉を詰まらせることなく続ける。
「練習を通して思いきってやっていくなかで、いろいろなことを言われると思うんですけれど、成長していきつつ、代表の力になれたらなと思います」
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