パリオリンピック全勝でベスト8へ まさにスペイン的な大岩ジャパンが正面から「本家」に挑む (3ページ目)
大岩ジャパンにとっても、ユーロ2024のスペインは、さぞや手本になっているに違いない。日本サッカー史において、中央と外との関係が今回の大岩ジャパンほど良好なチームも珍しい。まさにスペイン的なチームで、本家に臨むことになる。
日本は正面から挑むわけだ。5バックで後ろを固める作戦で臨んだカタールW杯の日本代表とは違う。ガチンコ勝負である。それでどこまで迫ることができるか。
2001年4月25日、スペインのコルドバで行なわれたスペイン対日本の親善試合。その1カ月前の3月24日、トルシエジャパンはフランスに0-5で大敗していた。2試合連続で大敗すれば自身のクビが飛ぶかもしれないと、フィリップ・トルシエ監督はスペイン戦にフラット5で臨んだ。試合は89分まで0-0だったが。最後の最後にスペインにゴールを許し、0-1で惜敗した。
自軍ゴール前にへばりついて守るトルシエジャパンを見て、傍らに座るスペイン人記者はこう言ってあきれ果てていた。
「日本ははるばるコルドバまで、守備の練習をしにきたのか」
スペインに対して、少なくとも筆者は劣等感を抱いている。それを雲散霧消するような正々堂々としたサッカーを、大岩ジャパンには期待したい。
著者プロフィール
杉山茂樹 (すぎやましげき)
スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。
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