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サッカー日本代表の進化は「不透明なまま」9月の最終予選へ 攻撃的3バックはどこまで通用するのか

  • 中山 淳●文 text by Nakayama Atsushi

 アジア2次予選最終節となった、ホームでのシリア戦。すでに首位通過を決めている日本は、前節のミャンマー戦でも試した新戦術の攻撃的3バックで試合に臨んだ。

森保一監督は2試合連続で攻撃的3バックをテストした photo by Ushijima Hisato森保一監督は2試合連続で攻撃的3バックをテストした photo by Ushijima Hisatoこの記事に関連する写真を見る ただし、中村敬斗と堂安律以外の9人を入れ替えた今回のスタメン編成では、両ウイングバックに中村(左)と堂安(右)という完全なアタッカーを起用。ミャンマー戦では本職がサイドバックの菅原由勢が右ウイングバックを担当していたため、今回のシリア戦は、より攻撃的な陣容で新戦術を試そうとしたことになる。

 果たして、日本がより攻撃的なスタメンで戦ったシリア戦では、ピッチ上でどのような現象が起こっていたのか。森保一監督が後半開始から4バックに切り替えたので、試合を前後半に分けて振り返ってみる。

【ボール保持からの攻撃は消化不良】

 まず、3-4-2-1をテストした前半。狙いは「攻撃でも守備でも、相手をより押し込んで、そこからチャンスを作り、得点を奪う」(森保監督)というところにあったが、そのなかで3ゴールをマークしている。

 前半13分に中村のクロスを1トップの上田綺世がヘッドで決めて先制すると、その6分後にはカウンターから久保、堂安とつないで、最後は堂安の圧巻の個人技で加点。さらにその3分後には相手のオウンゴールでリードを3点に広げ、前半のうちに勝利を決定づけることに成功した。攻守にわたり、3-4-2-1も機能している印象だった。

 とはいえ、「より相手を押し込んで」という日本の狙いどおりの内容だったかと言うと、実はそうではなかった。

 たとえば、この試合の前半に日本が記録した前線中央へのくさびの縦パスは、キックオフ直後のお互いが様子を見合った時間帯で記録した2本と、その後に遠藤航が記録した2本の計4本のみ。クロスボールについても、左サイドの中村が供給した1アシストを含む3本と、右サイドから田中碧が入れた1本の計4本しかなかった。

 さらに言えば、前述した試合開始直後の時間帯を除くと、敵陣でボールを保持しながらフィニッシュに持ち込んだシーンは、敵陣で8本のパスをつないでから南野拓実がシュートを放った32分のシーンのみで、日本が前半に記録した8本のシュートのうち、敵陣でボールを握りながら記録したシュートはその1本だけだった。

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著者プロフィール

  • 中山 淳

    中山 淳 (なかやま・あつし)

    1970年生まれ、山梨県出身。月刊「ワールドサッカーグラフィック」誌編集部勤務、同誌編集長を経て独立。スポーツ関連の出版物やデジタルコンテンツの企画制作を行なうほか、サッカーおよびスポーツメディアに執筆。サッカー中継の解説、サッカー関連番組にも出演する。近著『Jリーグを使ってみませんか? 地域に笑顔を増やす驚きの活動例』(ベースボール・マガジン社)

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