サッカー日本代表の進化は「不透明なまま」9月の最終予選へ 攻撃的3バックはどこまで通用するのか (3ページ目)

  • 中山 淳●文 text by Nakayama Atsushi

【後半は4バックに変更もビルドアップに苦労】

 3-0で迎えた後半、森保監督は左ウイングバックの中村を下げて伊藤洋輝を起用。布陣も、4-3-3(4-1-4-1)に変更された。

「3バック、4バックと、どちらもチームとして戦術的に機能させていこうと、後半からシステムを変えてチームとして戦術の浸透を図れるように、次のステージの戦い(W杯アジア最終予選)に向けて戦術変更した」

 試合後の会見で布陣変更の狙いを問われた森保監督は、そう答えた。つまり、相手の戦い方や布陣に関係なく、あくまでも自分たちの戦術を確認するための変更だった、という。したがって、かみ合わせ的にもよかった3バックから、相手としてはマッチアップしやすい4バックに変更したことで、ピッチ上でも少なからず変化が見て取れた。

 ひとつは、後半開始から日本がビルドアップに苦労し、最終ラインでボールを回す時間が増えたこと。もちろん、そのなかでも個人技で上回る日本が簡単にボールを失なわなかったが、前半のような縦に速い攻撃は影を潜めた。唯一の決定機は、久保建英のクロスに南野が頭で合わせた60分のシーンだけだった。

 ちなみに、ボール支配率で前後半を比較すると、前半の60%から後半は73%に上昇(『Sofascore』による記録)。後方でパスを回す時間が増えたことも影響した。

 停滞していた攻撃が再び活性化したのは62分。相馬勇紀と鎌田大地が同時投入され、布陣を4-2-3-1に変更してからだった。鎌田と田中(73分以降は川村拓夢)がダブルボランチを形成し、左ウイングに相馬、1トップ下に南野(4-3-3時は左ウイング)に配置されると、とりわけ前線中央へのくさびの縦パスが増加した。

 71分、鎌田の縦パスを起点に堂安経由で相馬がゴールチャンスを迎え、続いて田中の縦パスから上田が収め、堂安がシュート。ゴールにはならなかったが、縦パスから2つのチャンスを連続して生み出している。

 結局、後半に日本が記録した前線へのくさびの縦パスは9本。クロスボールは6本と、前半からそれほど増えなかったが、4バック変更後もそれなりにチャンスを作り、シュート数も前半の8本から11本に微増した。

 とはいえ、これだけで3バックよりも4バックが攻撃的に機能したかと言えば、そうとは言えないだろう。後半のゴールはPKによる1点と敗戦濃厚となったシリアの足が止まっていた終盤でのゴールだったので、単純に前半との比較はできない。

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