久保建英にシステム変更のストレスなし シリア戦は「楽しみたいより楽しませたかった」 (2ページ目)
【「守備ができる」も見せておきたかった】
シリア戦での久保は、ボールを扱うのがうまいだけでなく、人やスペースを使う力量も高かった。前半19分の2点目では、自陣中央を豪快にドリブルで攻め上がると、堂安律にラストパスを託し、ミドルをアシストした。
「(右ウイングバックに入った堂安が)中にカットインしてくるので、彼に近すぎない(関係性を)、と思っていました。ボールを受けたらすぐにターンして、"もし僕がウイングだったらボールほしい"と思ったんで、簡単にパスを出すようにしていました。楽しみたい、というよりは、余裕も出てきて、みんなを楽しませるプレーを入れていきたい、とは思っていましたね」
久保はそう言うが、プレー強度、精度を加速させていった。
前半22分、久保は力強くボールを運ぶと、左サイドを破るパスを相手が必死にカットしようとしたところ、オウンゴールを誘う。連係によって、相手を凌駕。27分には高いスキルと敏捷性でディフェンスを外し、預けたパスを上田綺世がターンからシュート。32分には中盤でボールを受けると、左でフリーになった中村敬斗を見つけ、南野拓実がシュートを打っている。
44分のプレーは圧巻だった。一瞬で、ラインをひとつ超えたパスの道筋を見つける。スルーパスが上田につながり、判定こそオフサイドにはなったが、出色のスキルとビジョンだった。
「プレッシャーをかけに行ったが、ことごとく突破されてしまった」
シリアのエクトル・クーペル監督は試合後に語っていたが、久保は敵の防御線を突き崩す"騎兵"の先陣をきっていた。その進撃はシリアにとって悪夢だっただろう。相手のカウンターに対しては、自陣までプレスバックしてパスカットするなど、どこにでも出没した。
「攻撃ができるのは、みんなわかっていると思うので、守備ができる、というのも見せておきたかったし、『そこがネック』と言われたくなかったので」
久保は語るが、守備の逞しさと献身はスペインで実証している。本場で、「守備ができない」などと誰も言わない。
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