日本代表の新たな攻撃オプション 中村敬斗が三笘薫からポジションを奪う可能性

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei

 すでに最終予選進出を決めている日本にとって、6月のW杯アジア2次予選の2試合は、いわば消化試合だった。それでも、森保一監督は妥協なく現時点でのベストメンバーを招集し、ミャンマー、シリアをともに5-0と一蹴した。

 消化試合を無意味なものとしないためにも、この2連戦では最終予選に向けて戦いの幅を広げるべく、新たな試みがなされた。攻撃的な3バックの採用である。

左サイドで圧倒的な存在感を示した中村敬斗 photo by Sano Miki左サイドで圧倒的な存在感を示した中村敬斗 photo by Sano Mikiこの記事に関連する写真を見る"攻撃的な"という形容詞を端的に表わしたのは、ウイングバックの選択だろう。サイドバックタイプではなくウイングタイプを配置することで、攻撃的な戦いの実現を目指した。

 その意味で森保監督の期待値が高かったのは、中村敬斗となる。

 右はミャンマー戦では菅原由勢、シリア戦では堂安律が配置されたのに対し、左は2試合ともに中村がスタメン起用されている。同ポジションでスタメンが予想された前田大然のコンディション不良があったとはいえ、中村はその起用に応える活躍を見せ、新たな試みに大きな可能性を生み出した。

 ミャンマー戦では鎌田大地のスルーパスに抜け出し先制ゴールを奪うと、終了間際には得意の位置から巻き込むようなミドルを突き刺した。そしてシリア戦では上田綺世の先制ゴールを導き出し、2戦連続でハイパフォーマンスを披露した。

「ミャンマー戦で90分出たあとでしたけど、 自分的にミャンマー戦で手応えがあったので、今日の試合も出たいっていう気持ちはすごく強かった。スタメンに使ってもらえてすごくうれしいですし、感謝したいですね」

 疲れを知らず意気揚々とシリアとの一戦に臨んだ中村は、立ち上がりからミャンマー戦と同様に縦への意識を強く打ち出し、ボールを受ければ躊躇なく1対1のバトルを挑んでいく。13分の上田の先制ゴールも、中村の積極姿勢がもたらしたものだ。

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著者プロフィール

  • 原山裕平

    原山裕平 (はらやま・ゆうへい)

    スポーツライター。1976年生まれ、静岡県出身。2002年から『週刊サッカーダイジェスト』編集部に所属し、セレッソ大阪、浦和レッズ、サンフレッチェ広島、日本代表などを担当。2015年よりフリーランスに転身。

【写真】「三笘の左ウイングは?」識者選定・サッカー日本代表 2026年のメンバーはこうなる!

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