サッカー日本代表戦開催の広島新スタジアムのすばらしさ 首都圏での球技場新設はまだ? (2ページ目)

  • 後藤健生●文 text by Goto Takeo

【ビッグアーチと総合グランド】

 しかし、ビッグアーチも完成した当時には輝いて見えたものだった。

 なにしろ、1990年代の初め、Jリーグが開幕しようとしていた頃、日本には野球場以外で約5万人を収容するスタジアムは、1964年の東京五輪で使用された旧・国立競技場と1985年に完成した神戸ユニバー記念競技場しか存在しなかったのだ。

 そして、それらはすべて陸上競技場だった。ようやくプロサッカーがスタートしようとしていた当時、「サッカー専用の大規模スタジアム」など夢のまた夢だった。

 こうして、1994年の広島アジア大会のメインスタジアムとして建設された広島ビッグアーチは、当時は日本有数のサッカースタジアムとなったわけだ。日本代表の試合にも何度か使用されている。

 ビッグアーチが完成する前には、サンフレッチェ広島の試合は広島市西区にあった「広島スタジアム」で開催されていた。

 第2次世界大戦前から存在し、1951年の広島国体にも使用され、「広島県総合グランド」などと呼ばれていた古いスタジアムだ(現在は「Balcom BMW スタジアム」と呼ばれている)。1万5000人ほどを収容するごく普通の陸上競技場だ。

 このスタジアムの最大の特徴は、空港に隣接していることだった。

 現在の広島空港は広島県三原市の山間部にあり、広島市内からはバスで50分ほどかかるところにあるが、1993年にこの空港が完成する前には広島市西区の飛行場が使われていた(旧空港は、その後「西飛行場」と名前を変えて近距離路線用に使われていたが、現在はヘリ―ポートとして使用されている)。

「総合グランド」は、その旧広島空港の滑走路のすぐ北隣にあり、サンフレッチェ広島の本社も旧空港のターミナルビルに置かれていた。

 広島市内からはそれほど便利な場所ではなかったかもしれないが、他の都市から観戦に行くアウェーサポーターには便利だった。なにしろ、空港のすぐ隣なのだ!

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