日本代表、シリア戦は貴重な一戦に ミャンマー戦は「攻撃的3バック」というより「戦術・鎌田」だった (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

【コンビネーションでの崩しは少ない】
 
 ミャンマー戦で先発した守田、鎌田のふたりは、実際に"違い"を示していた。

 守田はアンカーのようなポジションで、攻守一体の見事なプレーだった。攻撃の時には守備に備え、守備の時には攻撃に備え、不具合を起こし続けたチームをバックアップ。今シーズンはポルトガル王者に輝いたスポルティングに所属し、欧州の日本人選手のなかでトップ3に入るレベルの活躍をしており、格が違う。

 鎌田はイタリア、ラツィオで不遇をかこっていたが、CLベスト16のチームにおいて、監督交代以降は魔法を見せた。見えている景色が違う選手で、ひらめきは突出。ミャンマー戦でもシュートをお膳立てし、自ら際どいミドルも放って、サイドに流れて起点になる機転のよさも見せた。鎌田自身が攻撃戦術になっていた。彼がピッチから去ったあとの変化は顕著だった。元から空回りしていたが、どうにかつながっていた選手間の糸が緩み、切れてしまったのだ。

 森保ジャパンは、カタールW杯で攻撃を司っていた鎌田を代表メンバーから外してから、不調に陥っていた。アジアカップでも"不在の在"が顕著。実状は、「鎌田ジャパン」にも近い。

 ミャンマー戦は力の差が大きかったことで、最後はゴールラッシュによる完勝ムードだった。しかし、コンビネーションでの崩しは少ない。弱小な相手の致命的ミスに助けられながら、単純に高さで明らかに上回れるようになって、ゴールを決めた形だ。

 控えとして送り出された選手たちも力がないわけではないが、主力との差は歴然だった。

 たとえば小川のオランダでの11得点は立派と言える。しかし、リーグのレベルを考えた場合、他のFW陣と比べて目立つ記録ではないし、格下相手での得点が多かった。高さのある選手を試したかったのだろうが、待望されるポストプレーが得意なストライカーではない。ミャンマー相手ならゴールできたが、「W杯ベスト8への戦いの手がかりになるプレー」には......。はたしてテストは合格点だったのか?

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