日本代表メンバー発表に抱く違和感の数々 最大の見どころは「鎌田大地vs森保一」 (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki

【ベストメンバーを選ぶ必要はあるのか】

 言い換えるならば、五輪のサッカー競技は、それほどメダルの重みに欠けるものでもある。選手の所属クラブが、五輪に選手を送り出そうとしない理由もよくわかる。欧州組が100人を超えたいま、日本のサッカー協会も五輪に対する考え方をあらためるべき時に来ている。五輪に無理に力を注ぐことは避けるべし。今回も、U-23日本代表からの抜擢は、久保や鈴木だけでは物足りないと考える。

 この世界、まずはW杯ありきだ。そこでの成績に言い訳は許されない。物事は次回W杯が開幕する2026年6月から逆算して考える。これが本来あるべき姿である。

日本代表のメンバーを発表する森保一監督 photo by Fujita Masato日本代表のメンバーを発表する森保一監督 photo by Fujita Masatoこの記事に関連する写真を見る 今回のミャンマー戦、シリア戦は完全な消化試合だ。日本の最終予選進出はすでに決まっている。選手を試すにはまたとない機会になる。にもかかわらず、森保一監督はベストメンバーを選んでいる。

 2年後に39歳になっている長友がいくらいい選手でも、選ぶべきではないのだ。次に控えている選手に経験を積ませたほうが、W杯でベスト8を狙う日本にとっては有益だとは思わないのだろうか。U-23日本代表に該当者がいるならば、アメリカ遠征でなく、A代表に加えるという選択はあっていい。もちろんU-23以上にも、試してみたい選手は控えている。

 欧州のシーズンが終了したタイミングである。一方で休ませたくなる選手が数多くいる。近年、故障を繰り返している冨安などはその最たる存在だ。欧州ナンバーワンのプレミアリーグで終盤、優勝争いをするチームに欠かせぬ戦力として活躍した彼を、ミャンマーに連れて行くべきだとは思わない。リバプールのアンカーとしてシーズン後半、出ずっぱりだった遠藤しかり。今回ぐらいは、休ませてやればいいのに、と言いたくなる。今回の2試合は、E-1東アジア選手権に臨む日本代表的な、代表キャップを多くの選手に与える機会との位置づけで十分であると考える。

「9月から始まるW杯アジア最終予選の準備をしっかりしなくてはいけない」とは山本氏の言葉だが、枠は8.5もある。アジアカップでは、あれだけ失態を繰り返してもベスト8に進んだわけだ。現実的に考えて日本が落選する可能性はほぼゼロに等しい。4.5枠を争ったこれまでの予選も、終わってみれば楽に通過している。もっと泰然自若に構えないと、大きな伸びシロは期待できない。本番でベスト8など望めない、とは考えないのだろうか。

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