U-23日本代表がアジアの頂点に立てたのはなぜか? 主な理由は2つある (3ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki

 そして、もうひとつの理由が、一貫した戦い方だ。

 このチームは、およそ2年前の立ち上げ以降、高い位置から果敢にプレスを仕掛ける戦い方を志向してきた。

 とはいえ、ときにハイプレスはロングボールで回避されてしまう。それどころか、逆に相手の身体能力に優れたFWにロングボールを収められ、たちまち日本がピンチを招くことも少なくなかった。このウズベキスタンとの決勝にしても、そうした傾向が見られた試合だったと言っていい。

 しかし、彼らは引いて構えることをよしとはしなかった。

 今大会、リードして終盤を迎えた試合でも、選手交代でDFを投入し、3バック(というより5バック)で逃げきりを図るような守備固めは一切なし。あくまでもサイドの高い位置に選手を配したまま、相手の攻撃にフタをすることを心がけた。

 藤田は言う。

「戦い方が一貫していたので、そこは自分たちもやりやすかった。(決勝でも)特に監督の話は聞かずとも、最後に点を取ってからでも『みんなで前から行くぞ!』みたいな雰囲気があった」

 時間帯によってはハイプレスがハマらず、陣形を間延びさせられることもあったが、「今回(決勝で)失点ゼロに抑えられたのは、自分の自信にもなるし、こういう戦い方でも結果が残せたというのは、オリンピックでも生きてくる」と藤田。

 およそ3カ月後に迫っているパリ五輪本番を見据え、こう続ける。

「オリンピックもこういう短い期間で試合が続くので、(登録メンバーの)人数は(今大会より)もっと減ってしまうが、チームとしていろんな選手が出ながら、いい準備ができたらいいと思う」

 U-23世代では2度目となるアジア制覇。登録メンバー全員が一丸となり、前へと足を動かし続けた成果である。

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