U-23日本代表が戦前の低評価を一掃し、五輪切符をあっさり獲得できたワケ (2ページ目)
しかし、選手たちは言葉とは裏腹に、大会を通じて落ちついた戦いを見せていた。重圧を感じてはいても、それに押しつぶされ、冷静さを失うようなことはなかった。
そんな彼らの落ちつきがよく表われていたのは、彼らの選択する"攻め方"である。
前述したように、今大会では日本に対して守備を固めてくる相手が多かった。結果、日本はボールを保持して攻撃し続けることが多かった一方で、なかなか得点できない時間も短くなかった。
【相手のことをよく観察し、最善の選択をしていた攻撃】
そこで日本がこだわっていた(ように見えた)のは、サイド攻撃である。
特に右サイドでは山田楓喜と関根大輝が好連係を見せ、日本の大きな武器になっていたものの、裏を返せば、攻撃がサイド一辺倒になっている傾向は否めなかった。
どんなに強力な攻撃であろうと、それだけになれば相手が対応しやすいのは当然のこと。にもかかわらず、中央からの攻撃機会が少ないのは、勝負に徹し、極力カウンターを受けるリスクを排除しようとしていたからではないのか。
そんな疑問を木村誠二にぶつけてみると、「全然そんなことはない」と即答。「サイドからいけるんだから、サイドからいっちゃえばいいじゃんっていう感じで、僕らは空いているスペースを使いにいってるだけ」と、理由は明快だった。
実際、サイドからの攻撃でチャンスが作れていなかったわけではない。「もともとサイド攻撃が得意なチームではあるし、いいクロスが何本も入って、あとは決めるだけみたいな状況もあった」と木村。
キャプテンの藤田譲瑠チマにしても、「カウンターに気をつけているというのはあるが」と前置きしたうえで、「どのチームも中をいつも以上に意識して閉めてきている印象があるので、そこで無理に(縦パスを)差すよりは、(両サイドに)クロスの質が高い選手がいるので、そこを使いながら、というのは考えている」と言い、あくまでも相手の守備陣形を見ての判断であることを強調していた。
はたして、パリ五輪出場を決めた準決勝のイラク戦。彼らの言葉がウソではなかったことが、見事なまでピッチ上で証明された。
「(イラクは5バックだったが)あまり堅い守備だとは正直、思わなかった。時間が経てば、1、2点入るだろうなと思っていた」
この試合で貴重な2点目を決めた荒木遼太郎がそう語っていたように、イラクはボールに強くアプローチしようという狙いは見えたが、木村曰く、「あまり連動性を持った守備ではなかった」。
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