U-23日本代表が戦前の低評価を一掃し、五輪切符をあっさり獲得できたワケ (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki

 木村が語る。

「譲瑠のところがずっと空いていて、僕や(高井)幸大からそこに(パスを)つけるのが本当に容易だった。あれだけスペースがあったら、みんな技術が高いので、あれくらいは中から(攻撃に)いける」

 前向きにフリーでボールを持つ機会が多かった藤田は、「(自分に)寄せてこない割に(DF)ラインが高いなと思っていた。(細谷)真大がその(ラインの裏を狙う)動き出しをずっと狙ってくれていたので、うまく(パスを)出せた」と、先制点の場面を振り返り、こう続ける。

「(これまでに対戦したのは)中をすごく閉めて、外に追いやるような守備をしてくるチームばかりだったけど、今回(イラク戦)に関しては、相手の中盤の選手も2人で(日本が数的優位を作れて)、(松木)玖生と荒木が空いているように見えたので、そこをうまく使いながらプレーできた」

 先制点を決めた細谷も、「もちろん、サイドからポケットを突いて崩していくのは自分たちの攻撃の形でもあるが」としたうえで、「今日は中央での崩しを新たに見せられた」と、会心の攻撃を振り返る。

 凄まじい重圧と戦い続けた今大会。選手たちは少しばかり慎重になりすぎた面もあったのかもしれない。

 しかし、だからといって、彼らは決して消極的になっていたわけではなく、傍目にはもたついたように見える試合も、相手のことをよく観察して戦い、最善の選択をしていたにすぎない。

 日本のパリ五輪出場は、順当な結果。と同時に、選手たちが勝利の確率をより高めるべく、冷静に戦った結果でもある。

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