なでしこジャパン パリ五輪でメダルが望めない勝負弱さ 本番のメンバーはどうなる? (2ページ目)

  • 早草紀子●取材・文 text by Hayakusa Noriko

【センターバックやボランチには安定感】

 センターバックは、熊谷紗希、南萌華(ともにローマ)を軸に、急成長を見せる古賀塔子(フェイエノールト)、ケガからの復帰が間に合いそうな髙橋はな、石川璃音(ともに三菱重工浦和レッズレディース)ら代表経験のある選手の争いとなりそう。右サイドを担う清水梨紗(ウェストハム)も柔軟な対応ができるため、人員は足りている。

 その清水が抜群の安定感を誇る右サイドは、選手層の薄さが否めない。パリ五輪本大会は移動を含む連戦となり、疲労を考えると清水を全試合に出場させることは避けたい。清水の不在は想像したくもないが、守屋は本来ここが定位置であり清水のバックアップになるはず。いずれにしても、左右両サイドをかけ持ちできる選手が複数人欲しいところだ。

 ボランチは昨年のワールドカップメンバーの長谷川唯(マンチェスター・シティ)、長野風花(リバプール)、林穂乃香(ウェストハム)に加えて、谷川萌々子(ローゼンゴード)が名乗りをあげた。アンカーもこなせ、的確なフィードに加えて、自らゴールを狙うこともできるホープ。ワールドカップにサポートメンバーとして帯同した古賀とともにすでにチームに溶け込んでおり、伸びしろしか感じない。

 また、豊富な運動量でアップダウンするFWの田中美南(INAC)は、欠くことのできない存在になった。チームとして、藤野を中心にゲームを作ることも、コントロールもできているだけに、FWのフィニッシュの精度が上がれば起爆剤になり得る。植木理子(ウェストハム)、清家貴子(浦和)、浜野まいか(チェルシー)らがポジション争いに絡んできているが、とにかく欲しいのは決定力だ。

 今大会は決定機をスコアに結びつけられずに足元をすくわれた。しかも、3位決定戦では90分の試合中のPKとPK戦のトータル4本をすべて失敗。球威のなさだけでなく、コースも甘かった。

 オリンピック上位進出に不可欠な「勝負強さ」は残念ながら見られなかった。結果をもぎ取るメンタルの持ち主であれば、シーズン終盤に入るWEリーグでの活躍次第で、代表に返り咲く選手や初招集される選手もいるかもしれない。

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