サッカー五輪代表、パリへ行くためのカギは? アジア勢相手の最終予選へ不安は拭えず (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki

 対照的に、90分を通して息つく暇を与えてもらえなかったのが、マリ戦である。

「開始10分は間違いなく(プレスが)ハマっていた。けれど、それに対してマリが(戦い方を)変えてきて、僕らはそれに対応しきれなかった」

 そう語るのは、マリ戦でゲームキャプテンを務めたMF山本理仁だ。

 山本は「僕は(ウクライナ戦を)外から見ていただけなので、肌感ではわからないが」と前置きしたうえで、こう続ける。

「正直、マリのほうが前に運ぶ力は強かったし、それにプラスして長いボールとか、いろんな引き出しを持っていたな、というのが自分の印象。日本の守備がよかったのももちろんあるけど、ウクライナはポゼッションしていても、なかなか前に進まなかった」

 マリ戦でセンターバックに入ったDF西尾隆矢もまた、こんな言葉で敗戦を振り返っている。

「(マリ戦では)自分たちのなかでは(プレスが)ハマっている状態のときに、個ではがされるところが多々出てきてしまった。『じゃあ、これどうする?』って、ピッチのなかで混乱してしまう時間帯があった」

 今回の2試合において、プレスがハマったか否かは、必ずしも日本の出来だけが理由ではないだろう。初戦の反省が2試合目に生かされたのは確かでも、相手がマリでも同じことができたかは、想像の域を出ない。

 マリ戦を踏まえて、練習では従来とは異なる配置からのハイプレスにも取り組んでいるようだが、実戦でトライするには至っていないのが現状だ。

 その意味で言えば、U-23代表は「現段階でこのくらいのことはできる」という積み上げの成果をある程度の水準までは示すことはできた。だがその一方で、積み上げの間に表われてきた課題については、いまだ消化できずに残ったままなのである。

 そして迎えるのは、パリ五輪アジア最終予選を兼ねたU-23アジアカップである。

 4月15日に開幕するこの大会は、全16カ国が参加し、上位3カ国(決勝進出2カ国と3位決定戦の勝者)がパリ行きのチケットを獲得。4位(3位決定戦の敗者)の国は、ギニア(アフリカ予選4位)とのプレーオフに進むことになる。

 つまり、ベスト4進出が最低限のノルマ。韓国、UAE、中国とのグループステージを2位以内に入って勝ち上がり、準々決勝で勝利することが求められる。

 だが、先のアジアカップでA代表がイランやイラクに敗れたことでもわかるように、執拗にロングボールを多用してきたり、身体能力を生かした強引な突破を図ってきたりと、なりふり構わず日本にぶつかってくるのが、アジア勢の怖さである。

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