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トルシエが見た森保ジャパンの現状「一部の選手のメンタリティが崩れてしまっていた」

  • 篠 幸彦●取材・構成 text by Shino Yukihiko
  • フローラン・ダバディ●通訳

フィリップ・トルシエインタビュー(前編)

2002年W杯で日本代表を決勝トーナメント進出へと導いたフィリップ・トルシエ。現在はベトナム代表の指揮官となり、年明けのアジアカップでは"古巣"の日本を苦しめる戦いを見せた。今回、来日した同氏にアジアカップでの戦いを振り返ってもらいつつ、森保ジャパンの現状について話を聞いた――。

年明けのアジアカップについて振り返るトルシエ監督。photo by Fujimaki Goh年明けのアジアカップについて振り返るトルシエ監督。photo by Fujimaki Gohこの記事に関連する写真を見る【日本から奪った2得点はベトナムの大きな財産】

――まずはベトナム代表監督として、アジアカップを終えられた今の心境を聞かせてください。

フィリップ・トルシエ(以下、トルシエ)3戦全敗でグループリーグを突破できなかったことにがっかりしています。ベトナムの国民やメディアの期待に応えられず、ベトナムサッカー協会としても非常に悔しさが残ります。ただ、3試合とも内容を見れば、選手たちは精一杯頑張ったと思っています。

 私が植えつけたプレースタイルを選手たちは徐々にわかってきてくれていますし、中、長期的で言えば、ベトナムサッカーは必ず進化していくと確信しています。また、アジアカップで格上の相手と対戦できたことで、大きな経験を得ることができました。その経験はすぐに今後のW杯予選で生かすことができると思っています。

――グループリーグ初戦で日本と対戦したことは、特別な思いがあったと思います。その日本戦について、改めて振り返ってください。

トルシエ もちろん、私にとって日本と対戦することは大きな意味を持っていました。ただ、個人的な感情を抜きにして、ベトナムの監督として一番照準を合わせていたのは第2戦のインドネシア戦でした。

 グループリーグを突破するためには2位で終えるか、あるいは各グループ3位の中で上位4番目に入ることでした。ですから、日本戦は勝ちにいくというより、できれば勝ち点1を得るか、負けるにしても得失点差を考えて大差で負けないという、最も現実的な目標を持って臨みました。

 日本は2022年のカタールW杯ですばらしい戦いをして、その後の親善試合でもドイツを再び破り、本当に強い日本と対戦することになると思っていました。しかし、初戦ということもあって、まだエンジンが完全にはかかっていない状態であれば、ベトナムが100%の力を出せば、日本に脅威を与える時間帯を作ることはできると思っていました。

――実際、日本に先制されながら、同点に追いついて逆転ゴールまで奪いました。

トルシエ 思い描いたとおりになったけれど、前半にそのリードを守れなかったことが、逆転されたことにつながったと思います。それでも、私たちが奪った2得点は、ベトナムにとって大きな財産であり、この試合は選手たちにとって大きな糧になると思います。

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