冨安健洋に聞く「日本代表の弱点」 言葉を選びつつ「アーセナルの選手には、言わずとも『勝ちへの執着心』が備わっている」 (2ページ目)

  • 了戒美子●取材・文 text by Ryokai Yoshiko

【日本代表の士気が上がらない理由は何なのか?】

 その要素が今のチームにはないことが一因なのではないか──と質問を投げかけると、言葉を選び、考えながら、慎重に持論を展開した。

「(吉田や長友のような存在が不在?)そういうことではないと思います。うーん、今言ったようによくない時の日本が出たかなと思いますし、そこは何て言うんだろう......昔は知らないですけど、僕が代表に入ってからっていう意味では、成長できてない部分なんだろうと思います」

 常に右肩上がりを目指しつつ、でも、現状では至らないということを謙虚に認めた。そして、その解決策に頭を巡らす。

「でも、やっぱりそういう(勝負への執着が必要とされる)試合は何度も来るわけではないですし、こういう大会でしかそういう場面に出くわさない。そういう時のシチュエーションをイメージしてトレーニングすることは正直難しい。メンタル的なものなので、(解決するのに必要なのは)日常なのか、なんなのか。物足りなさはあったし、それが結果に反映したのではと思います」

 日常のリーグ戦から一発勝負の恐ろしさや代表戦のプレッシャーを想定することは、たしかに難しい。どうしたらいいのか。結論は出ない。

 では、冨安が所属するアーセナルではどうなのか。まぎれもないビッグクラブでは、何かが違うのか。

「うーん、まあ、言わないほうがいいなって......」

 と前置きしつつ、言葉を続ける。

「僕らアーセナルも若いチームなので、もちろんそういう(相手に押される)試合はあります。でもそのなかでも、何て言うんだろう......あきらめずに最後までやりますし、実際に今シーズンも最後にゴールを奪って勝ち上がったのは何試合もあるんですよね。

 そういう意味では(アーセナルの選手には)言わずとも『勝ちへの執着心』が備わっている。誰も何も言わなくても『ただただ、それが当たり前でしょ』っていう状態なので」

 その一方で、今大会はアジアに対する油断があったと認めつつ、劣勢に陥った時にはチームで打開するばかりじゃ足りないのでは、とも言う。

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る