久保建英「今日は彼がMVP」 毎熊晟矢が日本代表右SBの序列をひっくり返しつつある (2ページ目)
【久保・堂安の"わがまま"に合わせられる選手】
アジアカップ開幕を前にした「右サイドバックの序列」は、菅原由勢がファーストチョイスで毎熊は2番手だった。グループステージ初戦のベトナム戦、続くイラク戦は菅原が先発した。毎熊はベトナム戦に途中出場し、イラク戦は出番がなかった。森保一監督がスタメンを大きく入れ替えたインドネシア戦で、スタメン出場のチャンスがまわってきた。
背番号16を着ける26歳は、ここで持ち味を発揮する。同サイドの堂安、久保を後方からサポートしつつ、攻撃に効果的に関わっていったのだ。タッチライン際も内側のレーンも使えるのは菅原との共通点だが、堂安と久保のコンビネーションをグッと際立たせることができるのは、毎熊の強みと言っていいだろう。
彼らふたりの立ち位置を確認しながら、タッチライン際と内側のレーンを使い分けているのだ。自身を含めた3人がうまくつながる角度や距離感も考えられている。
「ふたりとも技術力がありますし、個で何でもできる選手です。まずは簡単にあずけて、そこからもう一度ポジションを取り直すのは、常に意識しています」(毎熊)
さりげなくも確かな毎熊の存在感が、久保には頼もしい。後半開始直後に2点目を決めたレフティーは、「今日の試合は彼がMVPなのかなと思います」と話した。
「僕もけっこうわがままですし、堂安選手も見てわかるようにわがままですし、それに毎熊選手がうまく合わせてくれている。彼はすごくいい選手なんで。サッカーを知っているほど、わかると思う」(久保)
2-1で推移する72分には、勝利を決定づける3点目に絡んだ。右センターバックの板倉滉からタッチライン際でパスを受けると、縦へ持ち出しながら相手を交わしたタイミングで内側へ運び、狭いスペースで上田綺世へパスをつなぐ。巧みなターンで抜け出した上田が、GKの股間を破るシュートを決めたのだった。
もっとも、3点目の流れを振り返る本人に笑顔はない。
「上田選手がうまく顔を出してくれて、個人技で決めてくれた。僕のパスはいいパスではなかったです」
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