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チームにジレンマを抱えていたブラジルW杯 大久保嘉人は「中村憲剛さんがいてくれたら...」と何度も思った (2ページ目)

  • 佐藤 俊●取材・文 text by Sato Shun

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 グループリーグ最終戦のコロンビア戦は、コロンビアから大勢のサポーターが集結。スタジアムは完全にアウェーと化していた。

 大久保はスタメンで起用され、ピッチに整列した。コロンビアの国家が流れると、スタンドを埋め尽くしたサポーターの熱がさらに上がり、スタジアムが揺れているのを感じた。

「すごい迫力だった。『これが、南米か』って思った。最初からかなり圧倒されました」

 コロンビアは熱狂的なサポーターの大声援を受けて、序盤から主導権を握った。多彩なボール回しを見せて、何度もチャンスを作った。そして前半17分、今野泰幸がPKを与えてしまい、日本はコロンビアに先制された。

 ただ、ゴールを挙げたことでコロンビアの攻撃が落ちつき、日本も選手たちが徐々に平常心を取り戻して、攻撃に転じるようになった。

「もう負けたら終わりなんで、かなり攻撃的にいった。内容的には3試合で一番いい入りだったし、『ひっくり返すぞ!』という気持ちがプレーしていて感じられた」

 前半終了間際、そうした思いが実を結んでか、岡崎慎司が同点ゴールを決めた。

「あのゴールで『後半勝負』と気持ちを切り替えて、ロッカーに戻った。

 前半、(2連勝していた)コロンビアは主力を温存していて、余裕が感じられた。ハメス(・ロドリゲス)も出ていなくて、『もう出てこないのかなぁ』と思う反面、同点だったんで、コートジボワール戦の(ディディエ・)ドログバのように『嫌な時間帯に出てきそうだな』とも思った。そこは、ちょっと気になっていた」

 後半、日本は同点に追いついた勢いのまま攻めた。だが一方で、コロンビアも前半終盤の流れがよくなかったと判断したのだろう。後半から、エースのハメス・ロドリゲスを投入してきた。

 大久保も「気になっていた」エースは、すぐに違いを見せた。後半10分、日本を突き放すゴールをアシスト。コートジボワールのドログバ同様、圧倒的な存在感を示してゲームの流れを一気に変えてしまった。

「この時のハメスは、すごかった。ピッチに入ってすぐに結果を出すのは、やっぱりエースだなと思ったし、何よりも怖さを感じた。

 俺らは2点目を取られて、1回、メンタルが落ちた。『コロンビアには勝てっこない』『このまま終わってしまう』――一瞬、そう思った。けど、すぐに気持ちを切り替えた。まだ1点差。コロンビアは強いけど、どうやってこじ開けていくか、必死に考えてプレーしていた」

 だが、ハメス・ロドリゲスを中心としたコロンビアは、攻守に統率が取れ、日本に隙を与えることはなかった。後半37分に追加点を奪われ、45分にはハメス・ロドリゲスのゴールでとどめを刺された。

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