森保一監督に聞いたカタールW杯・勝利の分岐点「浅野拓磨を起用した判断はどこにあったの?」 (2ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei

憲剛 大会前の9月の親善試合でも、途中から3バックにしたり、いろいろと試していましたよね。

寿人 これは準備のところに関わると思うんですけど、個人的に聞きたかったのは、浅野拓磨(ボーフム)がケガをして、大会直前のカナダ戦が復帰初戦だったじゃないですか。僕らの感覚で言うと、コンディショニング的に厳しいかなって思っていたんですけど、結果的に拓磨はドイツ戦で途中から出て、ヒーローになった。

 ポイチさんのなかで、あそこで拓磨を起用した判断はどこにあったのかなと。

森保 戦いのプランとして、もともとあったということかな。

寿人 コンディショニング的にはもっといい選手がいたわけじゃないですか。僕、カナダ戦後に拓磨に聞いたんですよ。そしたら「やっぱりまだちょっと怖さがあります」って言っていたので、あそこで起用するのは勇気があるなと。

森保 それは早く言ってくれよ(笑)。

寿人 でも結局、あの初戦であれだけ走って、貴重なゴールを決めたわけで。その選手起用のジャッジって、僕らが今、指導者の勉強をしているなかで、一番難しいところになるんじゃないのかなって感じることです。

憲剛 つき合いの長さは影響されますよね。やっぱり自分のチームにいたわけですから。

森保 でも、根拠はあったんですよ。ドクターが現地で見てくれていたので。それでカナダ戦でできれば、本大会でも起用できるかなと。もちろんケガのリスクはあったけど、拓磨ならやれるかなと。

 あと、戦いのプランとしては、もちろん先発でもやれる選手だけど、相手の実力を考えれば撃ち合いの試合はできない。これはずっと言っていますけど、「いい守備から、いい攻撃に」という戦いをしながら、最後にあのスピードを生かしてゴールを奪うというプランでした。

 やっぱりスピードだったり、ボールに向かう迫力だったり、推進力を持っている選手だったので、戦術のなかでは欠かせない存在でしたね。陸上にたとえるなら、100メートルでは勝てなくても、マラソンのように粘り強く走って、最後のラストスパートで勝つというようなイメージを描いていましたよ。

 でも、ドイツ戦にしても、スペイン戦にしても、前半のうちに何点取られるか、という試合ではありましたけど。

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