菅原由勢「犠牲にしたこともある」13歳で「この道で生きていく」と誓った男は10年後にオランダNo.1右サイドバックとなった (4ページ目)
【2024年の目標はチームを動かすリーダーシップ】
AZでの4年半で公式戦182試合に出場し、10ゴール25アシストを記録した菅原は、クラブ、チーム、仲間たちに「こうしたほうがいい、ああしたほうがいい」と発信しているが、「彼らの心に響いているとは思えない」と述懐する。
「自分がもっと説得力のあるプレーをピッチ上ですれば、僕の方向性についてきてくれる選手もスタッフもいるでしょう。だから、僕自身がもっとパフォーマンスをよくするだけだと、今は思います。自分が本当に不甲斐ないなって思います。だから今日(PSV戦)も最後まで点を取りにいきました」
12月20日のKNVBカップ・HHC(アマチュア)戦で、AZの年内スケジュールは終わる。
「まだカップ戦があるし、元日の試合を考えられるほど余裕はないし、そんなことを考えたらたぶんケガをする。今は目の前にある試合に向けて、100パーセントの準備をしなきゃいけない。
この試合(PSV戦)から何を学ぶかも含めて、課題はたくさんある。コツコツひとつずつやっていくことが、今は必要なのかなと思います。チームも若いですし、急によくなることはないですしね」
今年最後の言葉を、彼はこう残していった。
「ここに来た時と、今と、同じ感情を抱いていたらダメだと思う。もちろん、見える景色も違うし、プレーも変わっています。選手としても、チームを動かす存在としても、まだまだ力不足だなというのは感じます。日々成長です」
PSV戦後の菅原の言葉を聞くと、自ずと2024年の目標が定まってくる。
それは、リーダーシップ。パーソナリティとプレーの質の高さでクラブ内の信頼を掴み、その言葉の重みで周囲を動かすような存在になること。1月1日のタイ戦は、その一歩となる。
著者プロフィール
中田 徹 (なかた・とおる)
スポーツライター。 神奈川県出身。オランダを拠点に、2002年よりサッカーを主に取材。オランダスポーツジャーナリストクラブ会員。
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