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日本代表は引いて守る相手をどう崩す? 5バックのチュニジアを攻めあぐねていた (4ページ目)

  • 中山 淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • 牛島寿人●撮影 photo by Ushijima Hisato

【5バックの相手を攻めあぐねていた】

 1トップが古橋から上田綺世に代わった後半も、試合の流れに大きな変化はなかった。62分、上田が左から供給したクロスを菅原がミドルで狙ったシュートシーンはあったが、49分の守田のシュートも52分の旗手のシュートも、半ば強引に放ったもの。前半と同様、後半も日本は攻めあぐねる時間が続いていた。

 その流れに変化が起きたのは、チュニジアが3人交代を行なって布陣を4バックに変更した63分以降のこと。1点のビハインドを背負ったチュニジアが、軸足を守備から攻撃に移してからだった。

 浅野拓磨のパスをペナルティエリア内左で受けた久保が見せた、惜しい股抜きシュートの1分後、日本は4バックのチュニジアを崩して2ゴール目を決めている。

 このゴールは、高い位置で冨安から左サイドバック町田浩樹につないだあと、左サイドで町田の縦パスを浅野が縦方向にフリック。左に流れた久保がDFの背後のスペースでそのボールを受けてカットインすると、ゴール前に走り込んだ伊東に丁寧なクロスを供給したことで生まれたゴールだった。

 チュニジアが5バックだった時間には一度も見られなかった見事な崩しであり、完璧なゴールシーンだった。

 この試合で日本が記録したクロスは前半が6本で、後半は8本。そのうちチュニジアが5バックの時に記録したクロスは計9本(前半6本、後半3本)あった。しかし、カナダ戦を含めた直近4試合と少し違っていたのは、クロスがゴール前に届く前にブロックされたものが5本もあったことだ。

 伊東が前向きでスピードに乗った状態で供給した、典型的なクロス攻撃はゼロ。そもそも、この試合の伊東のクロスは1本だった。

 日本がボールを握って敵陣でゲームを進めていたため、当然ながらチュニジアはセットした状態で守る。最終ラインは5枚なので、サイドを崩したり突破したりして、いいかたちでクロスを供給しにくい状況だったことが影響したと見ていいだろう。

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