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久保建英を活かす攻撃陣の組み合わせが日本代表の課題 ポストプレーヤー不在も問題だ (4ページ目)

  • 杉山茂樹●取材・文 text by Sugiyama Shigeki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

【久保が1トップ下なら1トップはポストプレーヤーを】

 久保をどうしても1トップ下で使いたいなら、ポストプレーが得意な大迫勇也を呼んでくるしか手立てはない。あるいは鎌田大地をゼロトップに据えるか。1トップがポストプレーヤーでなければ、1トップ下に据えるべきはボールを収める力を備えた選手となる。古橋、浅野、上田が1トップ候補なら、現状では鎌田しか選択肢はない。

 4-3-3で戦ったカナダ戦も、1トップ(浅野)が孤立する問題が起きていた。4-2-3-1と異なり4-3-3には1トップ下がいない。1トップと近距離で構える選手が構造的にいないので、4-3-3を使用するなら、1トップにボールを保持する能力が高い選手を据えないと機能しない。

 カナダ戦では後半、布陣を4-2-3-1に変え、南野を1トップ下に据えた。機能したとは言い難かった。鎌田との比較で見劣りした。その最終盤、左ウイングから回った旗手が1トップ下の座に就いたが、可能性はそのほうが高そうだった。

 これはカナダ戦、チュニジア戦に連勝したことで、見落としがちな問題と言える。チュニジア戦後の会見で「日本代表で最も活躍が光った選手は」と問われた相手のジャレル・カドリ監督は、久保の名前を挙げた。

 久保は確かに光った。採点をすれば7かもしれない。だが1トップ下の選手として機能したかと問われると評価は下がる。

 右ウイングとしてプレーしたほうが丸く収まる。だが、右ウイングには伊東がデンと構える。出ずっぱりの状態になる。左には通常であれば、三笘がこれまたデンと構えることになる。

 久保をどう活かすか。そしてポストプレーヤー不在の1トップをどう考えるか。選手の頑張りとか、精神論では解決しない問題だ。問われるのは監督力。森保一監督にその自覚はどれほどあるか。前の4人がバランスよく綺麗に収まらない限り、日本らしさは発揮されない。W杯でベスト8以上は望めない。

 日本代表は攻撃陣の組み合わせを改善すれば、現状よりもっといいサッカーができると筆者は確信している。

著者プロフィール

  • 杉山茂樹

    杉山茂樹 (すぎやましげき)

    スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。

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