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久保建英を活かす攻撃陣の組み合わせが日本代表の課題 ポストプレーヤー不在も問題だ

  • 杉山茂樹●取材・文 text by Sugiyama Shigeki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

【2026年W杯から逆算して見た時】

 チュニジア戦。採点をするならば、ほぼ全員に合格ラインである6点以上をつけたくなる試合だった。6点ギリギリだったのは途中出場の上田綺世と、追加タイムに冨安健洋とのコンビネーションで危なっかしいプレーを見せたGK鈴木彩艶ぐらいか。

日本代表は1トップの古橋亨梧(中)がゴール。だが1トップ下の久保建英(右)との組み合わせのバランスは悪かった日本代表は1トップの古橋亨梧(中)がゴール。だが1トップ下の久保建英(右)との組み合わせのバランスは悪かったこの記事に関連する写真を見る いまの日本代表が、あるレベルを超えた選手で固められていることは確かである。ファンは見たことのない景色を見せられている、ある意味で幸せな状態にある。現在の日本代表を史上最強と評する声が高まるのも無理はない。過去の日本代表と比較すると明らかに上だろう。

 ただ、それは試合前からわかっていたことでもある。現代表のなかに欧州カップ戦(チャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグ)に出場している選手は8人を数える。今回メンバーから外れた鎌田大地、前田大然、堂安律、三笘薫を加えれば12人。代表歴のある岩田智輝、さらには常本佳吾らもそこに加えることができる。日本人選手の質が過去最高を示すことは、欧州の2023-24シーズンを迎えた段で鮮明になっていた。

 カナダ戦、チュニジア戦でそうした現実を再確認させられた。そうした話だと思う。2年半後、2026年W杯本大会でベスト8以上を狙うことができそうか。そこから逆算した時に日本は現在、どれほど順調なステップを踏んでいるか。改善すべきはどこなのか。各個人がチームになった時、生じる歪みはどこなのか。それらこそが目を凝らすべきポイントになる。

 チャンスであることは事実。はしゃぐべきか。兜の緒を締めるか。要はバランスだが、重心を掛けるならば後者になる。

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著者プロフィール

  • 杉山茂樹

    杉山茂樹 (すぎやましげき)

    スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。

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