久保建英がソシエダで磨いた「味方を生かす技術」三笘薫との連携で何かが起こる「予感」は最大の収穫か (3ページ目)
驚くべきことに、森保ジャパンではこの日先発した前線の選手たちが1年少し前まで冷や飯を食っていた。指揮官が彼らの実力やキャラクターを見抜き、勇敢に戦えるか。それ次第で、日本サッカーは列強とも対等に戦えるようになる。
久保と三笘のふたりが近づくと、何かが起きそうな予感があった。それこそ、この試合の最大の収穫かもしれない。
60分、久保は右から中央にボールを運び、相手をずらし、得意のゾーンに入る。左からエリア内に入った中村敬斗を見つけ、完璧なラストパスを送っている。すでに三笘は交代で下がっていたが、同じポジションに入った中村の動きも見えていた。後半に入って、前半のように左からチャンスを作れなくなっていたが、久保は作り手に転じ、見事にゴールをアシストした。
65分に交代で下がった久保は、自信に満ちていた。ラ・レアルでコンビネーションを磨き上げ、ビッグクラブも倒した成功体験によるものか。代表では三笘とだけでなく、他の選手とも連係が光っていた。
6月20日は大阪で南米の伏兵ペルーと戦う。久保の新章は始まったばかりだ。
著者プロフィール
小宮良之 (こみやよしゆき)
スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。
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