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「一瞬で夢が壊された感じ」セレッソ大阪の若き至宝が痛感した「10番の重み」と「世界の壁」 (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Hector Vivas - FIFA/FIFA via Getty Images

 そして決勝トーナメント進出がかかる、勝負の最終戦に決意を込めた。

「もっともっとやることはあると思うし、次のイスラエル戦は本当にチームとしてももう勝たないと(決勝トーナメントに)上がれないっていう状況にある。自分のゴールがやっぱり必要になってくると思うんで、そこ(シュートを増やすこと)は引き続き意識してやっていきたいなと思います」

 だがしかし、グルーリーグ最後のイスラエル戦で、チームは再び1-2の逆転負け。ベンチスタートの北野は、後半アディショナルタイムに入ってからの出場となり、見せ場を作ることができなかったばかりか、その後に逆転ゴールを叩き込まれる瞬間をピッチ上で目にすることとなった。

「後半から一気にこう、もちろん戦術のことだったりもあるんですけど、外から見ていて、気持ち的にちょっと攻め込まれてるっていう雰囲気にはなっていた。あの(0-1で負けていて退場者を出した)状況からでも逆転するのが世界やなって思いました」

 勝てばもちろん、引き分けでも決勝トーナメントに進むことができていただけに、まさかと言うしかない悲劇的な結末。世界一を目標にアルゼンチンに乗り込んできたU-20日本代表は、わずか3試合を戦っただけで、大会を去ることとなった。

「今はあっさり終わったって感覚で、一瞬で夢が壊されたような感じ。(U-20)ワールドカップって、改めてそういう舞台なんやなっていうのは感じました。もっともっとやれることはあったと思うし、防げた失点もありましたし。1点でもゴールに絡めたら......というか、絡むことができたはずなんで......、本当に後悔しかないですね」

 グループリーグ3試合を終え、呆然とした表情でそう話していた北野だったが、しかし今大会中、彼が世界との差についてよく口にしていたのは、実は攻撃のことよりも、守備についてのことだったのである。

「(相手選手は)結構トラップミスとかが多くて、たぶん(相手選手からは)オレのことが見えてないところから(ボールを取りに)行ってんのに、リーチの長さでカバーできる、みたいな。いつもやったら取れる感覚で行ってるのに取れなかったっていうのがありました」

 その象徴的なシーンが、第2戦のコロンビア戦。1-0でリードしていた日本が同点に追いつかれた場面である。

 日本は、敵陣左サイドで相手右SBを包囲するも突破され、そのままゴールまでつなげられてしまったのだが、そこで振りきられていたのが、北野だったのだ。

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