A代表再スタートの裏でパリ五輪世代は強豪ドイツに引き分け「手応えは得た」が、悩ましい懸念材料が浮き彫りに (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Getty Images

「颯太が(ボールに)触らないとチームのリズムは出ない。そこをどう使うかと考えたうえで、奥(相手のアンカー脇)に入っていくのか、2ボランチ気味で少し下がってもらうのかは、自分のなかで意識していた」

体格で勝るドイツの圧力に屈することなく、互角の戦いを見せたU-22日本代表体格で勝るドイツの圧力に屈することなく、互角の戦いを見せたU-22日本代表この記事に関連する写真を見る 1点ずつを取り合った後半は、両チームとも8人ずつの選手交代を行なったこともあり、ある意味で親善試合らしい、やや雑な試合展開が目立つようになった。試合終盤になると、ドイツのパワープレーに押し込まれることも多くなった。

 しかし、不慣れなピッチコンディションにも慌てることなく、立ち上がりの相手の圧力を受け止め、徐々に自分たちのリズムをつかんでいった試合運びは、若いながらも選手たちの冷静さやたくましさを感じさせるものだった。

「僕や颯太が真ん中で触れれば、(いい)リズムでボールを動かせるのは手応えとしてあった。そこは、自信を持って今後もやれるのかなと思う」とは山本の弁。それを強豪ドイツ相手に、しかもアウェーの地で実行できたことは、称えられていいだろう。

 しかしながら、選手個々のパフォーマンスに目を向ければ、今回のヨーロッパ遠征に際しての懸念材料、すなわち、U-22世代の選手が所属クラブで出場機会を減らしている(失っている)ことが、少なからず影響していた点は否めない。

 つまりは、ふだん試合に出ているか否かが、こうした国際試合でのパフォーマンスの出来に直結する。そう言いきってしまって構わないだろう。

 大岩監督も悩ましげに語る。

「率直に言って、彼たち(所属クラブで試合に出ていない選手)も苦しんでいると思う。別に贔屓目に見るわけじゃないが、彼たちが試合に出られていないのは本意ではなく、(その結果として)コンディションも悪い。それは致し方がないこと」

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