A代表再スタートの裏でパリ五輪世代は強豪ドイツに引き分け「手応えは得た」が、悩ましい懸念材料が浮き彫りに (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Getty Images

 だが、その一方で指揮官が、「やっぱり試合に出場している選手はすごくいい」とも話していたように、裏を返せば、所属クラブで主力を務めている選手は、相応のパフォーマンスを発揮できるということでもある。

 その最たる例が、アンカーを務めた川﨑。今季から京都サンガで新キャプテンを任され、リーグ戦全試合(第5節終了時)に先発フル出場しているMFだ。

 ドイツ相手にもひるむことなく、中盤でボールを奪い続けた背番号6は堂々と口を開く。

「相手の個の速さや強さは感じていたが、でも全然、自分も負けていないなと思った」

 特に試合序盤、選手の個人能力が高いドイツを相手に劣勢を強いられるなか、誰よりも果敢にボールに食らいつき、相手の攻撃を止めていたのが、川﨑だった。

 時に激しいタックルがファールを取られることもあったが、「別にネガティブに思う必要はない。逆に、それが自分の特徴。ファールになっても、相手が次から前を向きにくくなったり、プレッシャーに感じてくれたりすることもあるので無意味じゃない」と、足を止めることはなかった。

 もちろん、本人に満足する様子は見られない。

 川﨑曰く、「ゲームを作るところだったりは、もっと僕がいいポジションを取っていれば、唯人や理仁がもっとスムーズにできたと思う。そこは、京都とのサッカーの違いもあるが、もっともっといろんなサッカーを見たりして、自分が学ばなければいけないところかなと思う」。

 ドイツを相手にこれだけの試合ができたことは評価できる一方で、このまま多くの選手が所属クラブで実戦から遠ざかり続けるようなことになれば、チームとしてさらなる強化は望めない。

 山本は「引き分けという結果に終わったが、個々でやれるところは手応えがあった」としつつ、こう続ける。

「ただ、インテンシティのところで、やっぱりドイツは強かったな、というのが自分の印象。そこは各々上げていかなきゃいけないところだと思う」

 手応えは得た。だが、懸念材料もまた鮮明になった。

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