日本代表戦をウルグアイはどう戦ったか 主力を欠く急造チームでも「相手の長所を出させない戦い」に成功 (3ページ目)
国内スポーツ紙の表現は、交代出場の伊東純也のスピードを意味するのだろう。同点弾につながる右クロスは象徴的だったが、一度はPK判定を受けたシーンも、同じく交代で出た上田綺世とのワンツーから抜け出し、危険な場面だった。
ただし、後半途中からは試合自体がかなりオープンになっていた。選手、チームの評価を下げるようなものではない。終了間際には、日本のセットプレーの対応の弱さにつけ込み、決定機もつかんでいた。
忘れるべきでないのは、多くの主力を欠いていた点だろう。DFロナルド・アラウホ(FCバルセロナ)、ホセ・ヒメネス(アトレティコ・マドリード)、MFロドリゴ・ベンタンクール(トッテナム)、ジョルジアン・デ・アラスカエタ(フラメンゴ)、FWダルウィン・ヌニェス(リバプール)などが不在。これで"敵地ツアー"で引き分けたのだから十分だ。
「今日はいい試合ができました。時間帯によっては、もう少し"深さ"を取るような攻撃をできたらよかったですが」
ブロリ監督はどこか安堵したような表情だったが、暫定監督の難しさだろう。ウルグアイは"興行"を成功させ、韓国との一戦に向かう。
プロフィール
小宮良之 (こみやよしゆき)
スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。
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